若い遊撃手の活躍が目立つ
メジャーリーグは本格的なオフシーズンに突入し、今週は今季のタイトル獲得のニュースが次々飛び込んできている。数日前に発表されたア・ナ両リーグの新人王レースでは両リーグの上位3人(計6人)が全員内野手だった。
ア・リーグ新人王に選出されたアストロズの遊撃手、コレアは20歳だった6月にメジャーに昇格。レギュラーシーズンは99試合で打率.279、22本塁打、68打点、14盗塁をマークした。1歳年下のリンドーア(インディアンス、遊撃手)も6月に昇格し、99試合に出場。打率.313、12本塁打、51打点、12盗塁で惜しくも受賞を逃した。
リンドーアはどちらかというと広角に打てる中距離ヒッターだが、コレアは来年にもトリプルスリーを狙える大砲タイプだ。どちらにしてもこの2人はそれぞれのチームの中心を担う選手に育っていくだろう。
他にもレッドソックスのボガーツが実質2年目の今季、ア・リーグ2位の打率.320をマークしてブレークするなど、メジャーでは有能な若手遊撃手が急速に増えている。さらに6月のドラフト会議では上位3人(全体1~3位)がいずれも遊撃手だった。
その3人を含め、メジャーリーグ公式サイトのプロスペクト(将来の有望選手)ランキング上位30人のうち実に10人が遊撃手という状態だ。まさに向こう十数年のメジャーの遊撃手は有能選手であふれる状態になるかもしれない。現在20歳前後の彼らは幼少期にアレックス・ロドリゲスやデレク・ジーターらスター遊撃手を見て育っており、その影響も少なからずあるだろう。
では「現在の日本のプロ野球界に大型遊撃手はいるか?」と問われると、なかなか名前が出てこない。数年前なら巨人・坂本勇人の名前が挙がったが、21歳だった2010年に31本塁打を放って以降は毎年12~16本塁打に落ち着いている。トリプルスリーも期待されていた選手だけに、伸び悩んでいる印象だ。
プロ野球では、遊撃手にはまずなによりも守備力を求めることが多いため、長打も打てる遊撃手はなかなか生まれないのが現実だ。プロ野球通算300本塁打以上の41選手中、主に遊撃手だったのは338本塁打の宇野勝氏と304本塁打の池山隆寛氏の2人だけだ。
巨人の坂本は26歳にして通算127本塁打を放っているが、もう“ひと伸び”ないと、通算300本塁打到達も難しいのではないだろうか。先月のドラフトでロッテに1位指名された仙台育英の平沢大河も大物感が漂い評価の高い選手だが、どちらかというと中距離タイプであることは否めないだろう。メジャーと日本では遊撃手に対する価値観・位置づけは違うが、近い将来、日本のプロ野球界にも大型遊撃手が登場することに期待したい。