プレミア12で圧巻の投球を披露しベストナインに
初開催となった「世界野球WBSCプレミア12」は、決勝でアメリカに圧勝した韓国が初代王者に輝き閉幕した。3位に終わった日本だが、国内外問わず最も注目を集めたのは大谷翔平(日本ハム)だったのではないか。
先発した試合では序盤から160キロ台の直球を連発し、加えて140キロ台後半のフォークでも打者を翻弄。チャンピオンチーム・韓国を相手に投げた2試合の成績は投球回13、被安打3、無失点、奪三振21。まさに圧巻というほかない快投で日本の新エースに名乗りを上げ、チームの先輩・中田翔とともにベストナインに選出された。
まだプロ3年目を終えたばかりの大谷だが、今季も順調過ぎるほどの成長を見せた。開幕直後から白星を積み重ね、最多勝(15勝)、最優秀防御率(2.24)、最高勝率(.750)のタイトルを獲得したほか、完投数5、完封数3でもリーグトップの数字を残した。
一方で、二刀流と騒がれた打撃成績は急下降。今季は打率.202、5本塁打、17打点と低調なまま終幕。野手としてスタメンに名を連ねたのは7月7日のロッテ戦が最後であった。
投手としての成長度が打者のそれを大きく上回る
投手としての気になる成績が登板試合数と投球回だ。先発22試合はリーグ13位、投球回160回2/3はリーグ7位である。今季のパ・リーグには200投球回達成者がいなかったが、5完投の大谷が160投球回余りに終わったのはやはりいささか物足りないと言わざるを得ない。
パ・リーグの投球回トップ、194回2/3を記録した則本昂大(楽天)は登板試合数でもトップの28を記録。大谷が則本と同じ28試合に登板していたと仮定しよう。追加された6試合に今季の勝率.750を当てはめれば4.5勝を上積みし、20勝の大台に迫っていた可能性があるのだ。
昨季は「ベーブ・ルース以来の10勝&10本塁打」と話題になり、二刀流を批判する外野を黙らせた。しかし、投手としての成長度が打者としてのそれを大きく上回っているのは事実。今後、チームが大きな期待を寄せるのは投手・大谷に対してだろう。
来季開幕までの間、投手・大谷、そして打者・大谷はどのような準備をするのか。大谷自身の強い希望により続ける二刀流だが、投手として国際試合でも結果を残したことでますます注目が集まることになりそうだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)