若き新指揮官たちの手腕に注目が集まる
新年を迎え、プロ野球界も来る2016年シーズンへ向けていよいよ始動していく。来月には春季キャンプが始まるが、有力新人たちのほか、話題を集めるのはセ・リーグの新監督たちだろう。
巨人・高橋由伸監督、阪神・金本知憲監督、DeNA・ラミレス監督の3人。彼らがいったいどんなビジョンを持ち、どんな指導、改革を行うのか。残る3球団も含め、セ・リーグの監督は全員が40代となった。
新監督3人には、40代という以外にも共通点がある。全員が外野手出身なのだ。しかも、昨季に続いて指揮を執るヤクルト・真中満監督、広島・緒方孝市監督も同じく外野手出身。中日・谷繁元信監督だけが捕手出身でポジションが異なる。これほどまでに、監督のポジションが偏ることもなかなか珍しい。
野球に関する思考法、勝つための戦略、それらにはどうしても監督自身の経験、すなわちポジションの影響が表れるはずだ。そこで、1990年以降、26シーズンにおけるセ・リーグ優勝チームを率いた監督のポジションに注目してみる。
監督のポジション別実績では内野手が圧倒
最も多いのは26シーズン中、実に15シーズンで優勝を飾った内野手出身の監督。7度の優勝を飾った原辰徳監督(巨人)をはじめ、長嶋茂雄監督(巨人)、落合博満監督(中日)と、複数回の優勝を誇る監督たちと、岡田彰布監督(阪神)が名を連ねる。
続くのは4回で同数の投手と捕手。投手は中日、阪神と2球団で優勝を果たした星野仙一監督のほか、藤田元司監督(巨人)、権藤博監督(横浜)。捕手の4回は全てご存じ野村克也監督(ヤクルト)だ。
さて、肝心の外野手は最下位の3回。昨季、就任1年目にして14年ぶりの優勝を決めた真中満監督(ヤクルト)のほか、同じくヤクルトの若松勉監督、1991年に広島最後の優勝に導いた山本浩二監督だ。
独自の緻密な野球理論を取り入れ、1990年代にヤクルトの黄金期を築いた野村克也氏の持論に「外野手出身監督に名監督はいない」というものがある。その根拠は「外野手は試合中に“考える”機会がほとんどない」というもの。それが監督としては「致命的」だとも語っている。
果たして、注目の新人監督たちは、実績十分の野村氏の持論をひっくり返せるのか。お手並み拝見といきたい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)