コラム 2016.02.08. 11:20

ギャレット「由伸巨人の命運を握る左の大砲候補」

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メジャーで122本の本塁打を放った巨人・ギャレット[Getty Images]
 日本でメジャーリーグがまだ「大リーグ」と呼ばれていた頃の話だ。かつて巨人に元大物メジャーリーガーたちが立て続けに入団していた時代があった。

 オリオールズの二塁手として3年連続ゴールドグラブ賞を獲得したデーブ・ジョンソンは「尊敬するサダハル・オーがいるなら」と長嶋監督初年度の75年に来日、その後もメジャー314発のレジー・スミス(83年)、エクスポズで通算1000試合以上出場のウォーレン・クロマティ(84年)、外野手としてMLB通算1494安打を放ちシルバースラッガー賞の受賞経験もあるロイド・モスビー(92年)、ブルージェイズ在籍時に本塁打王に輝いたジェシー・バーフィールド(93年)、2年8億円の大型契約で来日したシェーン・マック(95年)と実績充分の大物選手たちを獲得。ファンはそのキャリアと風格に圧倒されたものだ。

 だが、90年代中盤あたりから他球団の優良助っ人を高額年俸で引き抜くケースが増え、ハウエル、ヒルマン、マルティネス、ペタジーニ、イ・スンヨプ、ラミレス、グライシンガー、ゴンザレス、クルーンといった豪華な面々が続々と巨人入り。そして今季もロッテからルイス・クルーズを補強した。もちろんすでに日本球界で実績のある助っ人なら新チームでも失敗する可能性は低く、編成としては間違いじゃない。だが、同時にファンは複雑な心境だ。80年~90年代序盤の助っ人選手たちに感じていた心躍るような未知との遭遇的な面白さは激減してしまった。ブライアントやウッズの観客の度肝を抜く規格外のパワー、バースやブーマーのような神かがった三冠王級の活躍。どれだけMLBが身近になろうが中南米の選手の映像までネットでチェックできる環境になろうが、いつの時代も助っ人選手には夢とロマンを見ていたい。そんなプロ野球ファンも多いと思う。

 そこでギャレット・ジョーンズである。今季、巨人が獲得した年俸3億500万円のメジャー122発男だ。15年はヤンキースで5本塁打に終わるも、パイレーツ時代の12年には4番に座り27本塁打を放った左の大砲候補GJ。アメリカ時代は左投手に極端に弱く、守備も宮崎キャンプでは一塁と外野でノックを受けていたがレフト守備の足取りは重くシーズン中の外野起用には不安を残す。今年6月には35歳。マイナス要素を挙げたらキリがないが、元メジャーリーガーという壁を作らず練習中にも周囲と積極的にコミュニケーションを取りチームに溶け込もうとする姿勢も垣間見えた。

 長距離砲不在に悩むチームでは13年の阿部慎之助以来、30本塁打以上放った選手はいない。巨人から日本のキャリアをスタートさせた外国人選手の30発以上は、クロマティが来日3年目の1986年に記録した37本塁打が最後になる。…昨年のフランシスコ来日時にも同じことを書いた記憶があるが、今度こそその壁を越えることはできるだろうか?

 ギャレットが巨人自前助っ人30年ぶりの30本塁打以上をクリアできれば、由伸巨人もV奪回へ大きく前進するはずだ。

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)

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