史上最高の投手陣を誇ったのは…
打線は2004年が最強(※下部参照)。では、最強投手陣を誇ったのはいつだったのか。
防御率でいえば、チーム最高は1943年の1.38という驚異的な数字が残っているのだが、ここでは1990年の投手陣を推したい。
この年、率いていたのは藤田元司監督。88勝42敗の勝率.671という驚異的な成績で、2位の広島に22ゲームの大差をつけて独走優勝した。
広島の貯金は2、3位の横浜以下はもう借金という状態だったので、セリーグの貯金をほぼ独占。9月8日に早くも優勝を決めている。
※ 「シーズン20発超が6人…驚異の巨人史上最強打線」(https://baseballking.jp/ns/column/59660 )
セの投手タイトルをほぼ独占!
そのぶっちぎり優勝の要因となったのが強力投手陣だった。この年活躍した投手たちは以下の通り。
【1990年・巨人の投手陣】
▼ 先発
斎藤雅樹 27試(224回・19完投) 20勝5敗 奪三146 防2.17 ☆MVP、最多勝、最優秀防御率、最高勝率
桑田真澄 23試(186回1/3・17完投) 14勝7敗 奪三115 防2.51
木田優夫 32試(182回2/3・13完投) 12勝8敗 奪三182 防2.71
香田勲男 23試(130回1/3・4完投) 11勝5敗 奪三106 防2.90
宮本和知 28試(190回1/3・10完投) 14勝6敗 奪三166 防3.69
槇原寛巳 17試(102回1/3・6完投) 9勝5敗 奪三87 防3.96
▼ 中継ぎ・抑え
水野雄仁 34試(68回2/3) 2勝2敗11セーブ 奪三64 防1.97
吉田修司 21試(46回1/3) 3勝3敗1セーブ 奪三37 防3.69
広田浩章 15試(31回1/3) 3勝1敗2セーブ 奪三21 防1.72
加藤 初 6試(13回2/3) 0勝0敗1セーブ 奪三8 防2.63
「すごい」の一言である。
斎藤雅は2年連続で20勝。最優秀防御率と最多勝のタイトルを獲得した。防御率はセ・リーグの1位から4位までを独占(斎藤、桑田、木田、香田)。5人が2ケタ勝利をマークし、最多勝争いでも桑田と宮本がリーグ2位の14勝と、他チームをまるで寄せ付けなかった。
また、最多奪三振のタイトルは木田が獲得。ということで、投手陣のタイトルはほとんど巨人が独占したことになる。
チーム防御率は2.83。しかも、このシーズンで投げたのは上述の10人だけだというのだから、本当にすごい。
チーム完投数は70。先発、中継ぎ、抑えと投手分業化が進みつつあった時代において、この数字は驚異的だ。
ちなみに、2年連続20勝はこの年の斎藤雅以降は出ていない。生涯1度でも難しい20勝を2年連続で達成。しかも完投は19。最後まで投げきる完投勝利が多かったのも斎藤の特長だ。
前年の1989年には、今や不滅の大記録となった「11試合連続完投勝利」も記録している。“ミスター完投”、“平成の大エース”と呼ばれた男がローテーションの柱として君臨していた。
ところが、これだけ圧倒的な投手陣を擁していながら、日本シリーズでは西武に4連敗。まさかの敗退となった。
リーグ優勝が決まってから1カ月も空いてしまったことや、打線が下降気味だったことなど様々な敗因が挙がった。
しかし、日本一にはなれなかったものの、この年の巨人投手陣が「最強」だったことに疑いはない。