実績十分の“最強助っ人”がまさか…
2月も後半、プロ野球の春季キャンプも紅白戦などの実戦的な練習へと移り、今日20日からはオープン戦が開幕。各チームとも仕上げの最終段階を迎えている。
チーム関係者やファンも、改めて新チームの今後の展望を思い描き、新たなスタートを実感する時期ではないだろうか。
しかし、過去にはこの時期に「引退」という結末を迎えた選手がいた。2003年の2月19日、キャンプ中に千葉ロッテマリーンズを退団したロバート・ローズ(当時35歳)である。
ローズといえば、1993年に横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)に入団。2000年のシーズン終了後、契約交渉の決裂から横浜を退団し、アメリカへ帰国していたのだが、2002年のオフに千葉ロッテマリーンズと契約し、2003年シーズンに向けて春季キャンプに参加していた。
実戦から2年間も離れていたとはいえ、横浜での活躍を知るファンはもちろん、フロントサイドも開幕スタメンや主軸としての活躍に期待していた。
しかし、予想外に期待を裏切られる形となってしまう。
春季キャンプ中に行われた紅白戦で3試合に出場し、8打席無安打。その結果を受けて、だれもが耳を疑う決断を行った。それが突然の「引退」だった。
理由は、「野球に対する情熱がなくなった」ことだと会見で説明しているが、その突然の発表にチームとファンはぼう然。開いた口がふさがらないとは、まさにこういうことを言うのだと思った。
来日からわずかに28日、新チームがスタートを切ったばかりのこの時期の退団には、詐欺にでもあったかのように感じた関係者やファンも多くいただろう。ちなみに、一連の騒動は“お騒がせ助っ人”の起こした事件として、ワイドショーなどでも取り上げられた。
1998年には、横浜“マシンガン打線”の中軸として38年ぶりの日本一に貢献したロバート・ローズ。98年以降も首位打者、打点王、最多安打などのタイトルを獲得した。
さらに守備でも98年のゴールデングラブ賞を筆頭に、ベストナインには6度も選出。横浜史上最強助っ人と評する声も少なくない。記憶にも記録にも残る名選手だが、最後の最後に残した記憶が「史上最速退団」という後味の悪いものになってしまった。