「300勝クラブ」という金字塔
日本球界では、投手なら200勝、打者なら2000安打を達成すると「名球会」入り。プロ野球選手なら誰でも夢見ることだろう。
だが、メジャーには「300勝クラブ」なる名誉会員クラブがあることをご存じだろうか。
その名の通りで、メジャーでは現在までに24人が達成している、通算300勝を挙げた投手だけが入会できるクラブだ。
それにしても、300勝とは気の遠くなる記録だ。メジャーで最後に300勝を達成した投手は、あの「ビッグユニット」こと、ランディ・ジョンソンである。
2009年6月4日、45歳という年齢で300勝に到達。最後は303勝まで伸ばした。
ジョンソンを含めて、2000年以降での達成者はわずかに4人。2003年にロジャー・クレメンス(最終勝利数354勝)、2004年にグレッグ・マダックス(同355勝)、2007年にトム・グラビン(同305勝)となっている。
今後、達成しそうな選手を考えてみても、なかなか難しそうだ。
ヤンキースなどで活躍したアンディ・ペティットが2013年限りで引退したが、彼は通算256勝で現役投手では最も300勝に近かっただけに、惜しまれた。
CC・サバシア(ヤンキース)は35歳ながら、現在214勝。故障との戦いに苦しんだが、これから毎年20勝近くを稼ぐことができれば、あと5年で達成可能となる。
また、現在のところ通算114勝ながらも将来的な達成に期待がかかっているのが、27歳のクレイトン・カーショー(ドジャース)だ。
300勝までは残り186勝。シーズン15勝を14年続ければ達成できるペースとなるが、カーショーはすでにシーズン21勝を2度も記録。このまま順調に勝ち星を積み重ねれば、達成できる可能性もあるだろう。
日本で「300勝」をクリアしたのは…
ちなみに、日本プロ野球で300勝を達成した投手は以下の通り。
金田正一 400勝298敗
米田哲也 350勝285敗
小山正明 320勝232敗
鈴木啓示 317勝238敗
別所毅彦 310勝178敗
スタルヒン 303勝176敗
メジャーでは24人が達成したのに対し、日本では6人だけ。1984年に鈴木啓示が達成して以来、31年もの間だれも達成していない。
「300勝」と一口でいうが、シーズン15勝を20年間続けて、ようやく達成できるという記録。先発投手が中5日ないし6日というローテーションで回る現代野球において、年間登板数は順調に行っても30試合前後となる。
となると、ほとんど負けない条件でようやく20勝が可能。田中将大が2013年に24勝0敗という奇跡的な記録を達成したが、この年の先発登板試合は27試合だった。
「300勝」……。日本でもメジャーでも、達成が難しい記録の一つ。夢のような数字だが、いつか日本人投手が達成する日を心待ちにしたい。