コラム

かつては世紀の誤審も…メジャーの審判事情

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ジョイス審判(左)とガララーガ(右)写真は2010年当時

審判の給料事情は…


 野球では欠かせない存在が審判員。日本のプロ野球でも、審判にまつわる話は多い。ロッテの金田正一監督は「バカヤロー」と審判に文句をつけ、何度も退場になった。また、1959年、微妙な判定について「俺がルールブックだ」と一喝した二出川球審の言葉は、今でも語り継がれている。

 そんな日本の審判の待遇は、一軍のベテラン審判で年俸1000万円程度だという。試合手当は球審が3万4000円、塁審が2万4000円と言われている。ただ、ここまで登り詰める審判は少ないにもかかわらず、待遇は決していいとはいえない。

 それが、メジャーリーグとなるとなおさら。マイナーリーグは3Aでも、月収24万円。2Aやルーキーリーグでは、まったく生活できないというから驚きだ。それでも、メジャーの審判を夢見て、審判の卵たちは日々、奮闘している。

 15年5月。メジャーでたいへん珍しい“事件”がおきた。レッズ対インディアンス戦のプレイボールがかかる前に、レッズの監督が退場処分を受けたのだ。試合前のメンバー表交換のとき、レッズのプライス監督が審判と口論。

 理由は不明だが、かなりエキサイトしたようで、直後に退場が宣告されたのだ。日本では、まず考えられない、この退場劇。メジャーの審判もたいへんだ。ちなみに監督の退場に関する記録としては、ボビー・コックス氏の合計161回が最多退場記録。ちょっと多すぎる…。

世紀の誤審も…


 10年6月2日には世紀の誤審により完全試合がフイにされた試合があった。タイガースのガララーガ投手は、9回二死までインディアンスに1人の走者も許さない完ぺきな投球。そして27人目の打者を一塁ゴロに打ち取り、ベースカバーにガララーガが入り、完全試合達成。誰もがそう思った。

 だが、次の瞬間、一塁塁審のジョイスが下した判定はセーフ。どう見てもアウト、ビデオで見てもアウトなのに、ジョイス塁審はセーフのジャッジを下した。ただの誤審ではない、完全試合をぶち壊す誤審だった。

 ジョイスは大ブーイングを浴び、試合後、他の審判たちからも「あれはアウトだ」と言われ、ひどく落ち込んだ。だが翌日、ガララーガはジョイスと試合前に抱擁。「完ぺきな人間なんていないさ」と声をかけられ、ジョイスは涙を流しながら謝罪したという。

 打者なら10回に3回打てば(3割)スーパースターになれるし、投手なら1試合を2点に抑えれば称賛される。野球はミスがつきもの。だが、審判だけは1度のミスも許されない。因果な職業だと思うが、ガララーガのような野球選手ばかりなら、審判もやりがいがあるだろう。ガララーガは「彼(ジョイス)は、ぼく以上に落ち込んでいるはず」と、ジョイスの謝罪を受け入れた。

 この“事件”、ジョイスは精神的にも落ち込んだという。ジョイスと同じ町に住む同姓のジョイスさんの家には脅迫状や脅迫電話がかかってきたといい、町を歩けば、ブーイングの嵐だったという。それでも、ガララーガの男らしい振る舞いに、地元ファンも感動。それ以降は、ジョイスを中傷することはなくなった。メジャーの審判員のみなさん、今季も頑張ってください。
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