コラム 2016.03.05. 09:00

復活を遂げた“スーパースター” アレックス・ロドリゲスが挑む大記録

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復活を遂げたA・ロッドにかかる大記録

孤独な戦いから這い上がった“スーパースター”


 現役メジャーリーガーの“スーパースター”といえば、やはりこの男は避けて通れない。

 1994年にプロ入りし、2000年まではマリナーズ。2001年から2003年まではレンジャーズに所属し、そして2004年からはヤンキース。プロ23年目(※出場停止となった2014年を除けば22年目)の40歳。アレックス・ロドリゲスは、今年もヤンキースでプレーする。

 通算本塁打687本は、歴代4位の記録。同3位ベーブ・ルースの714本までは、残り27本…。今季中には十分、抜くことが可能な数字である。

 同1位バリー・ボンズの762本までも、あと75本。来季もプレーするとなれば、こちらも射程圏内だと言っていいだろう。

 2009年から騒がれ始めた薬物使用疑惑。迎えた2014年シーズン、A・ロッドは全162試合の出場停止処分が下された。最後まで「私は潔白。やっていない」と薬物使用を否定していたが、自らが孤立したことを察し、出場停止を受け入れたという。

 それにしても、疑問は残る。というのも、メジャーでは通算記録やシーズン最多記録が破られそうなとき、必ずそれを“阻止”する動きが出てくるのだ。


大記録への扉は、不自然なほどに重く厚い


 かつてシーズン最多本塁打記録を保持していたのが、あのベーブ・ルースで60本だった。

 1961年にヤンキースのロジャー・マリスが、ルースの記録に迫ったとき、米国中からマリスへの誹謗・中傷が巻き起こった。自宅には脅迫電話がかかり、剃刀の入った封筒なども送りつけられたという。

 そして「あんな奴にルースの記録を破らせるわけにはいかない」と、マスコミも平気でマリスをたたき、ファンは大ブーイングを浴びせた。

 米国におけるベーブ・ルースという存在は、日本でいえば「長嶋茂雄+王貞治」と言っても過言ではない。それほど、米国の野球ファンには特別な存在だったのだ。だからこそ、ルースの記録を破らせることはできない、というわけだ。


 バリー・ボンズがハンク・アーロンの本塁打記録である755本に近づいたときも、マスコミはこぞってボンズの薬物使用疑惑を報道した。

 ボンズは2001年にシーズン73本塁打というとてつもない記録を打ち立てるなど、ノリにノっていた。そして2007年、ついに756本塁打を放ち、記録の扉を破った。

 だが、その後のボンズは引退宣言もできないままメジャーから去った、後に行われた裁判では無罪判決を受けたが、薬物使用疑惑は残ったまま。そして、今回のロドリゲス問題を迎える。


A・ロッドはすべてを超えることができるか...


 事の真相は、この際置いておく。だがしかし、ステロイド系の薬物に対する考え方が現在ほど厳しくなかったことも事実。通算記録が破られそうになると、きまって薬物疑惑報道が出てくることも事実。そこに“陰謀”があるのでは、と思うことは自然なのではないだろうか。

 いずれにしても、出場停止処分があけた2015年、A・ロッドは完全復活を遂げる。周囲の不安をよそに、151試合に出場。33本塁打、86打点を記録した。

 今季は2月25日にヤンキース野手組キャンプに合流。すると、集まったファンからは「アレックスコール」が巻き起こった。かつての“黒い”イメージから完全に脱却し、マスコミやファンへの対応も紳士的なものに変わっていった。

 順調にいけば、本塁打の歴代1位記録は間違いないだろう。762本などは通過点として、その先の800、900本と記録を伸ばしていってほしい。

 無論、762本に近づいた時にはいろいろな“横やり”も入るのだろうが、それに負けずに本塁打を打ち続けてほしいと思う。

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