ドラフト6位以下での達成は福本豊だけ
黒田博樹が電撃復帰し、フィーバーに沸いた昨年の広島。24年ぶりのセ・リーグ優勝へ期待が高まったが、終わってみれば2年連続で進出していたクライマックスシリーズも逃してしまった。
オフにはエースの前田健太がメジャーに移籍。新たなスタートを切るわけだが、開幕からしばらくはベテラン・新井貴浩の通算2000安打達成に注目が集まるだろう。
駒沢大学から1998年のドラフト6位で広島に入団し、今季でプロ18年目を迎える新井。昨季まで積み重ねた安打は通算1971本で、あと29本打てば2000安打達成となる。
新井は、広島から阪神、そして広島に復帰と2度の移籍を経験しているが、古巣に戻って2000安打を達成となれば、2012年の小久保裕紀(ダイエー→巨人→ソフトバンク)に次いで2人目のことだ。
また、社会人経由を含む大学出身選手で2000安打を達成したのは過去11人。ドラフト6位以下でプロの世界に入り、2000安打以上を記録したのは1983年福本豊(1968年阪急7位)しかいない(※石井琢朗と秋山幸二はドラフト外入団)。
福本は大鉄高校から社会人野球・松下電器を経て入団しているが、新井のように社会人を経ずにドラフト6位以下で入団した大学出身選手が2000安打達成となれば史上初のことになる。
巨人、本拠地、デーゲームを得意にした昨季の新井
プロ生活17年のなかで、新井のシーズン安打数がもっとも少なかったのはルーキーイヤーの21安打。阪神でのラストシーズンとなった2014年はケガの影響などもあり不振を極めたが、それでも94試合に出場し43安打を放っている。
エルドレッドや中日から移籍してきたルナなど、新井とポジションが重なる選手も多いが、シーズンを棒に振るようなケガでもしない限り、今季中の2000安打達成は確実と見ていい。
参考までに昨シーズンの新井とセ・リーグ各球団との対戦成績は以下の通りだ。
ヤクルト 打率.240 本塁打2
巨人 打率.323 本塁打0
阪神 打率.258 本塁打2
中日 打率.256 本塁打2
DeNA 打率.271 本塁打1
また、昨年はビジターの試合では打率.211、2本塁打と苦しんだが、本拠地・マツダスタジアムでは打率.330、5本塁打。時間帯別ではナイターが打率.256、5本塁打なのに対し、デーゲームでは打率.330、2本塁打と、本拠地とデーゲームを得意としていることが分かる。
広島の選手で2000安打を達成した右打者というと、1984年の山本浩二までさかのぼる。チームを愛する新井がどのような形で大記録を達成するか、しっかりと見守りたい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)