田中は13年に24勝0敗
東北楽天が、パリーグに加盟したのが2005年。今季が12年目になり、梨田新監督を迎え、リーグ優勝を虎視眈々と狙っている。
さて、ミスター楽天とは誰なのだろうか。歴史が浅い分、これからのチームであることは間違いない。この11年間で考えると、田中将大しか浮かばない。
13年、プロ野球史上初の無敗の最多勝を達成。24勝0敗1セーブ。ポストシーズンや前年度を含めると30連勝。これはギネス世界記録にも認定された。まさに快挙だ。
ただ、ミスタープロ野球というと、どうしても打者を想像してしまう。巨人でいえば、長嶋茂雄、阪神でいえば藤村富美男、ロッテでいえば有藤道世、広島でいえば山本浩二だった。そういう意味で、ミスター楽天というと誰か。また、いなければミスター楽天候補を探したい。
候補の一人は、嶋基宏。06年、国学院大からドラフト3位で楽天に入団した扇の要だ。
当時の野村克也監督が「捕手は頭脳明晰でないと務まらない」という持論から、中学時代に9教科でオール5だった嶋を、ルーキーながら正捕手に抜擢。以来、楽天のホームを守り続けている。ただし、10年に打率.315をマークしただけで3割は一度だけ。打撃は今一つという印象はぬぐえない。
また、忘れてはいけない候補が銀次。岩手県出身で、盛岡中央高校から05年に高校生ドラフト3巡目で楽天に入団。09年までの4年間は、一軍出場はなかったが、12年から一軍に定着。13年からは2年連続で打率3割をマークした。
通算打率は3割を超え、14年には打率.327でリーグ打率2位。東北出身で楽天生え抜き。今後の活躍しだいでは、ミスター襲名もあるのではないか。
そして、ルーキーでは、ドラフト1位で入団したオコエ瑠偉に注目が集まっているが、同3位の茂木栄五郎をミスター候補に推したい。右投左打の三塁手で、早大ではリーグ戦通算打率.307、10本塁打を記録し、即戦力の呼び声も高い。大学4年時の大学選手権では打率.615、2本塁打、8打点で優勝に貢献。MVPと首位打者に輝いた。
大舞台に強く、ここ一番の勝負強さが魅力。楽天でも、チャンスに強いイメージが定着すれば、タイトルも狙える。ミスターの称号は、チャンスに強い打者にしか与えられない。いくら、打撃部門の数字がよくてもチャンスにいつも凡打、三振ばかりでは、ファンが認めない。それを茂木は持っているような雰囲気がある。
巨人や阪神は歴史が長い。その長い歴史の中で、ミスタープロ野球が誕生してきた。楽天は、これからのチーム。若い選手が打ちまくり、ファンの心に響くプレーを続けていけば、いつの日かミスター楽天が誕生するだろう。現在籍選手か、それとも未来の選手か、それは分からないが、その日が来ることを楽しみにしたい。