落ち込むチーム、雰囲気は最悪…
巨人の流れが悪すぎる。球団は賭博問題に揺れ、“巨人の象徴”でもある渡辺オーナーら首脳陣の辞任は発表したが、その影響がチームにも出ている。
雰囲気は最悪だ。本来ならば開幕を見据えた調整の最終段階に入るこの時期。プレーに集中……は当然のことなのだが、試合前のグラウンドやロッカールーム、様々な場所で「賭博」の言葉を耳にしている選手にとっては、その雰囲気の悪さを実感しているだろう。
もちろん、選手たちは気持ちを切り替えて、目の前のプレーに集中してグラウンドに立っているはずだが、少なからずその影響はある。
12日のオープン戦、ロッテとの試合に0-5と完封負けを喫したチームは、その試合までで44イニング連続タイムリーなしという苦しい状況に陥った。
キャンプから明るい話題を振りまいてきた期待のルーキー・重信慎之介が同試合でチャンスで併殺に倒れれば、同じく開幕スタメンを期待される若手・岡本和真も、ここまでのオープン戦で打率1割台と低迷している。
重信の打率もここまで2割をなんとか守っているというところ。加えて主軸の坂本の打率も2割を割り込むなど、球団同様に打線も沈んでいるのだ。
昨シーズンもセ・リーグ最低のチーム打率.243という散々な結果に終わった巨人打線。頼みの助っ人ギャレット、そしてクルーズも、そこそこの結果は出しているものの“大物感”がない。
開幕まで時間がない中で、高橋由伸新監督も「開幕スタメン」に頭を悩ませる時間が続く。
頼れる男が帰ってきた!
この深刻な問題のカギを握る男が、阿部慎之助だ。長らくチームを支えてきたこの男ならば、苦しい状況を打開してくれるかもしれない。
ここまでチームは小林誠司にマスクをかぶらせているが、阿部が間に合うようならばスタメンに戻さぬ手はないだろう。
16日に神宮球場で行われたヤクルト戦、阿部は「6番・捕手」でスタメンに復帰。すると、0-2と2点ビハインドで回ってきた2回の第1打席、ヤクルト先発・新垣渚からライトへのオープン戦第1号。復帰後最初の打席で“らしい”一発を放ち、反撃の狼煙を上げた。
チームも阿部の復帰弾に乗せられるように、これまでのうっぷんを晴らす11安打10得点の猛攻。不振にあえいでいた坂本にも一発が飛び出すなど、打線に活気が戻ってきた。
この1試合で判断するのも強引なところはあるのだが、苦しい現状を打破するための突破口を開いたのは“阿部慎之助”という存在であろう。改めて阿部のチームにもたらす影響の大きさを感じる瞬間であった。
来週に迫ってきた開幕に向けて、いよいよサバイバルも佳境。重信や岡本、大田ら若手の抜擢はあるのか、はたまた阿部、村田らベテランに頼ることになるのか。
ただひとつ言えるのは、残された期間はあとわずかだということだ。