若手とベテランの競争
これが1軍の壁なのか。
巨人の岡本和真が苦しんでいる。2年目の和製大砲候補はオープン戦打率.164と低迷。さらに三塁守備でも不安定なプレーを連発。持ち前の長打力も鳴りを潜め本塁打は0だ。だが開幕三塁を争う通算321本塁打のベテラン村田修一も打率.195と決め手に欠く。守備力や経験値は35歳の村田、だが19歳の岡本には未来への可能性がある。二人ではなくクルーズの三塁起用の可能性も捨てきれないが、果たして由伸監督はどんな決断を下すのだろうか?(※ 岡本は21日試合後に2軍降格が決定)
外野のポジション争いもキャンプから注目を集めた俊足ルーキー重信慎之介が3月に入り打率1割台と急失速。さらに外野守備でも精彩を欠きレフトに入った19日の楽天戦ではタイムリーエラー。21日のオープン戦最終戦の西武戦に途中出場すると左中間へ決勝の犠牲フライを放って意地をみせたが、33歳の亀井善行が20日の西武戦で豪快な代打アーチを放ち開幕に向けて状態を上げてきた。
巨人の外野は新選手会長でオープン戦でも好調の長野久義と1番センターを任せられる立岡宗一郎の2人はほぼ確定的。残り1枠を重信、亀井、大田泰示らが争う形になっている。早いもので未完の大器・大田もプロ8年目。中堅選手と言っても過言ではない年齢に差し掛かっているだけになんとしても結果が欲しい。
この世代交代の波は投手陣にも押し寄せている。原巨人をど真ん中で支え続けた33歳の内海哲也がオープン戦3登板で防御率10.32と大乱調。すでに2軍降格しており開幕ローテからも外れることが濃厚だ。代わりにローテ6番目の座を射止めそうなのが5年目サウスポーの今村信貴。16日のヤクルト戦で内海のあとにマウンドに上がると4回1安打無失点投球。オープン戦防御率も1.13と成長の跡を見せている。
仮に巨人開幕ローテが菅野智之・ポレダ・高木勇人・田口麗斗・桜井俊貴・今村の6名ならローテ平均年齢24.1歳。日本人投手に限れば平均23.2歳。内海・杉内・大竹・西村といった30代のベテラン陣の名前はなく、急激に若返ったメンバーで開幕を迎えることになる。
監督も代わり、チームも変わり目。新生由伸巨人の開幕オーダーを勝ち取るのは「若さ」か?「経験」か?
いつの時代も育成のためにチームがあるのでなく、チームの勝利のために育成がある。プロの世界で優先されるのは常に勝利だ。首脳陣は勝つために最善の選手をチョイスしようと最後まで頭を悩ます。
今週金曜日、東京ドームのスタメン発表でその名を呼ばれるのは一体誰になるのだろうか。
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)