打線爆発の広島と好調投手陣で猛追するDeNA
5月のセ・リーグは、広島打線の勢いとDeNAの快進撃が目を引いた。例年、「鯉のぼりの季節まで……」とファンが自虐的に揶揄する広島だが、5月はここまで13勝11敗1分、勝率.542。月間成績ではリーグ2位と、鯉のぼりの季節を過ぎてもチームは好調を維持している。
その広島を上回るのがDeNA。4月終了時点では9勝18敗2分と大きく負け越していたが、5月に入ると猛追撃を開始。5月の月間成績は15勝7敗1分の勝率.682でリーグトップ。リーグ順位では3位阪神に0.5ゲーム差に迫る4位に浮上した。
リーグ内でも優勝から長く遠ざかっている2球団だけに、ファンもチームもその悲願達成に向けて盛り上がっていることだろう。しかし、この2球団が苦手としているのが、5月31日からはじまる交流戦である。
交流戦がペナントの行方を大きく左右する
交流戦ではパ・リーグ勢が優勢だということは野球ファンには周知の事実だろうが、あらためて、過去11年間の交流戦通算成績を見てみよう。
交流戦通算成績
ソフトバンク
167勝104敗11分 勝率.616
優勝:5回(08、09、11、13、15年)
日本ハム
150勝122敗10分 勝率.551
優勝:1回(07年)
ロッテ
147勝121敗14分 勝率.549
優勝:2回(05、06年)
巨人
147勝126敗9分 勝率.538
優勝:2回(12、14年)
中日
140勝132敗10分 勝率.515
優勝:なし
西武
138勝138敗6分 勝率.500
優勝:なし
阪神
136勝136敗10分 勝率.500
優勝:なし
オリックス
136勝138敗8分 勝率.496
優勝:1回(10年)
ヤクルト
132勝143敗7分 勝率.480
優勝:なし
楽天
127勝151敗4分 勝率.457
優勝:なし
広島
114勝158敗10分 勝率.419
優勝:なし
DeNA
105勝170敗7分 勝率.382
優勝:なし
勝率ナンバーワンは貫禄のソフトバンク。唯一の6割超で、優勝回数も断トツの5回を記録。さすがの強さである。そして、通算成績の下位を見れば……広島とDeNAが、ワースト2に沈んでいる。
しかも、広島は3度、DeNAに至っては5度の最下位を経験。2014年には、広島、阪神、楽天が同率で最下位ということもあったが、11年間の交流戦の歴史のうち、実に8シーズンの最下位を2チームで分け合っていることになる。
昨季のDeNAは、首位をキープして交流戦に入りながら期間中に10連敗を喫するなど、交流戦を境に急降下。結局、レギュラーシーズンも“定位置”の最下位で終わったことは記憶に新しいところ。
一方の広島が最下位となった2014年の交流戦では、同一リーグである巨人に交流戦だけで7ゲーム差をつけられてしまった。最終的に、リーグ優勝を果たした巨人とは7.5ゲーム差だったことから、交流戦の結果次第では優勝も十分に射程内にあったと言える。
悲願達成を目指し勢いづいている両者が、交流戦という“鬼門”をいかに乗り越えるか。その結果が、ペナントの行方を大きく左右することにもなりそうだ。
※数字は2016年5月29日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)