7回の失点数はリーグワースト
今日から交流戦に突入する。広島といえば、交流戦通算114勝158敗10分と苦手にしている。これまで、好調な打線で打ち勝つ野球をしている広島だが、リリーフ陣、特に勝ちパターンの“7回”を任せる投手に苦労している。広島の7回のイニング別失点は33失点。チームとしては他のどの回よりも多い失点で、リーグで見ても7回の失点数はワーストだ。
開幕当初はルーキーのオスカル、右肩故障明けの中田廉らが担っていたが、ふたりとも失点を重ねファームに落ちている。
しばらくの間、7回はこのふたりでまわしていくことになりそうだが、ひとり7回を任せてみたい投手がいる。それはプロ5年目の戸田隆矢だ。
リリーフ適正を持つ左腕・戸田の投球内容
戸田は線こそ細く見えるが181センチの身長を活かして150キロ近いストレートを投げることができる。昨季の成績は34試合に登板して、3勝3敗5ホールド防御率3.63。5試合に先発したが、QS率は20%である。先発だけの防御率を限ると5.32とよくないが、救援防御率になると2.70と急に見栄えがよくなる。
戸田は、その前年2014年も同じような成績を残している。5試合に先発し、QS率20%、先発防御率は4.78、救援防御率は25試合で2.05。これまでの数字だけで判断するならば、先発失格の烙印は押されたかもしれない。しかし、戸田がリリーフ向きであることを示すデータは確実に残っている。
5月20日の甲子園・阪神戦では、延長12回の1イニングを与四球1被安打1ながらも抑え、プロ初セーブを記録。続く5月22日の阪神戦も、3回から2回2/3を自責点0のロングリリーフ。見事、勝利投手となっている。
ロングリリーフも利くタイプで使い勝手もいい投手で、貴重な左腕。与えられた場面できっちりと仕事をこなしていけば、勝利の方程式におさまる日はそう遠くないのかもしれない。“7回”に戸田というピースがガッチリとはまれば、25年ぶりの優勝だって現実味を帯びてくる。
文=松本祐貴(まつもと・ゆうき)