中日3連戦は若手投手が躍動
現在リーグ3位の広島。先発陣は、リーグ2位タイの4勝を挙げる黒田博樹が頸部神経根症、右肩痛で現在離脱中、昨季自己最多の9勝を挙げた福井優也は、開幕から不調が続き二軍落ち。さらに、中継ぎから先発に再転向した大瀬良大地が故障で二軍調整中。先発投手陣の層が薄く、かなり厳しい戦いが強いられるのではと思われた。
現時点では、杞憂に終わっている。5月10日のヤクルト戦から7試合連続で先発投手がQS(6回3自責点以内)を記録中。特に先週末に行われた中日との3連戦は、戸田隆矢、岡田明丈、中村恭平若手が揃って結果を残し、チームのピンチを救った。
その中でも、15日の中日戦に先発したプロ6年目の中村恭の投球は見事だった。これまでの中村恭といえば、四球から崩れるシーンが多かった。この日も3回に2つの四球から荒木雅博、平田良介の連続タイムリーで3点を失ったが、4回以降は走者を出しながらも粘りのピッチング。
勝ち星は付かなかったものの、7回2/3を投げ、5安打3失点と、先発として最低限の役割を果たした。この投球に緒方孝市監督も「今日の投球ならチャンスはまたある」と評価。次回以降の登板に期待を寄せた。
野村の復活も大きい
ここ数年低迷していた野村祐輔が、先発ローテの軸として投げていることも大きい。野村といえば、12年に新人王、翌13年に二ケタ勝利を挙げ、当時エースだった前田健太とともに“2本柱”として活躍が期待されたが、14年以降は7勝、5勝と力を発揮することができず。
今季は初登板となった3月29日の中日戦で、敗戦投手となったものの、4月5日のヤクルト戦から4連勝。4月27日のヤクルト戦では、5年目にして嬉しいプロ初完封勝利を飾った。ここまで、7試合に登板して、4勝2敗、防御率2.74と安定した投球を見せている。
苦しい先発事情ではあるが、若手がチームのピンチをチャンスに変え、野村も復活した。さらに、故障で二軍調整中の黒田が20日の阪神戦で、一軍復帰することが見込まれる。黒田、ジョンソン、野村の3人に加え、九里亜蓮、中村恭、岡田、二軍調整中の福井、横山弘樹、大瀬良大地らが高いレベルで競争できれば、シーズンが終わった頃には、層の厚い先発陣に変貌を遂げる可能性も十分にありそうだ。