コラム 2014.08.23. 21:06

残り4校、3917校の頂点に立つのは一体…

 熱戦が続く夏の高校野球。ここまで45校が甲子園を去り、残るは準決勝と決勝の計3試合となった。準決勝は、三重-日本文理、大阪桐蔭-敦賀気比の組み合わせが決まっている。勝ち残った4校にある共通点、そしてそれぞれの甲子園での戦いぶりを振り返りつつ、準決勝2試合のキーポイントを探っていきたい。

 4校の共通点としてまず挙げておきたいのは、いずれも過去に甲子園を経験したメンバーがいる点だ。三重と日本文理は昨夏と今春の選抜に連続出場(いずれも初戦敗退)。大阪桐蔭は昨夏2勝を挙げた。甲子園から最も遠ざかっていた敦賀気比は2013年の選抜でベスト4進出を果たしている。やはり甲子園でのプレー経験は大きな財産となり、結果となって表れているのだろう。

 堅い守備も共通している点だ。4校は今大会すべて1回戦から登場しており、それぞれ4試合を戦っている。失策数は最も多い三重と大阪桐蔭が3個。敦賀気比が2個、日本文理はわずか1個という鉄壁ぶりだ。守備でリズムを作り、攻撃につなげるという場面も多く目にした。


試合前半の三重、後半の日本文理 得点傾向が対照的な両校が対戦


 続いて準決勝2試合の見どころをピックアップする。三重は初戦の広陵戦の9回裏に2点差を追いつき、延長11回サヨナラで初戦突破。しかし2回戦以降の3試合は全て先行逃げ切りで勝ち上がっている。今大会挙げた得点25点中20点は5回までに挙げており、試合前半にいかに得点を挙げられるかがカギとなる。

 対戦相手の日本文理は4校の中では最も少ない19得点。準々決勝の聖光学院戦以外は逆転で勝ち上がってきた。特に3回戦の富山商戦は9回裏の逆転サヨナラ2ランで勝利をもぎ取った。三重とは対照的に19得点中13点を6回以降に挙げており、打線はエンジンのかかりは遅いが、試合後半に集中打を見せるタイプといえるだろう。三重としては3~4点リードで試合後半を迎えたいところ。逆に僅差で終盤を迎えれば日本文理の勝ちパターンとなる。


2枚看板の大阪桐蔭 vs 敦賀気比の強力打線


 大阪桐蔭は初戦の開星戦で初回に4点を失うも、じわじわ追い上げ逆転勝利を収めた。4校中2位の27得点を挙げており打線も強力だが、最大の強みはエース級2人を抱える投手力だ。準々決勝の健大高崎戦で完投した福島投手は防御率2.45、3回戦で八頭を完封した2年生の田中投手は防御率2.58と、ともに安定している。完投能力のある投手が2人いるのは、トーナメント戦では非常に心強い。

 一方の敦賀気比は、1試合平均10得点を超える49得点を挙げている強力打線が売り。一方で4試合13犠打と、リードしている展開でも次の一点を確実に取りにいくいやらしさも持ち合わせている。投手は2年生エースの平沼投手が4試合中3試合を完投。防御率は1.13と安定している。勝負のカギは大阪桐蔭投手陣がいかに敦賀気比打線を抑えられるかになるだろう。継投のタイミングが勝敗の行方を左右するかもしれない。

 4校の甲子園での戦いぶりや数字を見る限り、49得点・4失点と投打がかみ合っている敦賀気比が優勝に最も近いところに位置しているように思える。しかしその敦賀気比も福井県大会の準決勝で9回裏に逆転サヨナラ勝ちという苦しい戦いも経験している。4校の中で頭一つ抜けた存在とまでは決して言えない。残すところ3試合、この夏3917校の頂点に立つのは一体どの高校になるのだろうか。
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