50本塁打ペースで本塁打を量産中
山田哲人の打棒がとどまるところを知らない。3日の巨人戦で今季28本目となる逆転2ランを放ち、2年連続トリプルスリーはほぼ間違いない状況だ。さらにプロ野球史上初の40本塁打/40盗塁や打撃三冠に盗塁王を加えた四冠王など、次々と未知の記録を塗り替える可能性がある。
そんな山田にあえて達成してもらいたい記録がある。それは日本人では2002年以来誰も到達していないシーズン50本塁打だ。最後に大台を突破したのは巨人で最後のシーズンとなった松井秀喜だった。松井以外には小鶴誠、野村克也、王貞治(3度)、落合博満(2度)の計5人しかその聖域に達していない。
山田はチーム80試合目で28号を放ったことでちょうどシーズン50本塁打ペースに乗ったことになる。日本人史上6人目の50本超えは、今年の勢いから実現不可能な数字ではないだろう。さらに本塁打王争いでは2位以下にすでに10本近い差をつけている。もしシーズン終了時にその差が20本以上に広がっていれば、1966年の王貞治、2011年の中村剛也に次いで史上3人目。50本前後まで数字を伸ばせば、この記録も当然視野に入ってくるだろう。
さてシーズン50本塁打には、残り63試合で22本必要になる。7月に入り本格的な暑さを迎えているが、山田はこの暑い時期を乗り切ることができるのだろうか。
夏男の山田
過去2年の7月以降の成績を振り返ると、昨年はシーズン38本塁打のうち24本を7月以降に放ち、その前年も29本中19本を記録。まさに“夏男”。これからが山田の季節なのである。
もう一つ山田にとって追い風となるデータがある。昨季ホームの神宮球場で38本のうち6割を超える23本を放っていたが、今季はここまでビジターゲームで半数を超える15本放っている。本塁打が出やすいといわれる神宮球場以外の場所でも昨季以上のペースでスタンドに放り込んでいるのだ。今季の山田は球場の大小にかかわらず本塁打が出ているのだ。
今月16日に24歳を迎える山田。大卒なら2年目の年齢である。その成長スピードは次元を超えており、今季いくつの記録を塗り替えるのかもはや想像すらつかない。そんな山田なら50本塁打という大台はいとも簡単に達成するのだろう。
文=八木遊