街全体で盛り上げるメジャーのオールスター
年に1度の“真夏の祭典”――。それがMLBのオールスターゲーム。今年は7月12日にサンディエゴ・パドレスの本拠地ペトコ・パークで開催される。
メジャーは全部で30球団もあるため、ニューヨークやシカゴといった複数の球団がある都市を除き、単純計算で30年に1度しかオールスターゲームが開催されない。サンディエゴでのオールスターゲームは、1992年以来で24年ぶりだ。
以前はアメリカン・リーグとナショナル・リーグで交互に開催されてきたが、近年はその慣例もなくなった。今後は開催都市を招致立候補方式に変更することも検討されていて、招致合戦が開かれる可能性もある。
数十年に1度しか見られないということもあり、地元での開催となればまさに“お祭り”状態。「オールスター・ウィーク」と呼ばれる開催一週間ほど前になってくると街全体がオールスターゲーム一色となり、野球に関するアトラクションは親子連れで大賑わい。夜にはオールスター・コンサートまで行われる。
日本のフレッシュオールスターにあたる「フューチャーズゲーム」もオールスターゲームと同じ球場で行われ、ハリウッドスターやメジャーOBによるソフトボールゲームが行われるなど、人々を惹きつける要素が満載なのだ。
NPBのオールスターゲームがMLBのように!?
一方、日本のオールスターゲームはどうだろうか。
街ぐるみで熱狂するアメリカと比べると盛り上がる要素は少なく、その存在価値が単なる“恒例行事”となっている印象は否めない。
「もう少し盛り上げられないものか……」と思っていたところ、DeNAが画期的な企画を生み出した。
7月16日に、DeNAの本拠地・横浜スタジアムでオールスターゲームが行われるが、その前日にオールスターゲーム体験型イベント「マツダオールスターエクスペリエンス2016 in YOKOHAMA」を開催するのだ。
当日は横浜スタジアムのグラウンドを開放し、歴代オールスターゲームにまつわる展示品を公開するミュージアムコーナーや、野球を体験できるブース、OBによるトークショーなどが行われる。まさにアメリカのオールスターフェスタに近い内容だ。
また、オールスターゲームをモチーフにしたTシャツを100種類以上も作り、「これでもか」というほどオールスターゲームをアピールする。球界参入以降、さまざまな企画でファンを沸かせてきたが、「ついにここまできたか」とDeNAには驚かされるばかりだ。
メジャーのオールスターゲームがはじまったきっかけは、ある野球ファンの少年から「(ワールドシリーズでしか実現しない)ベーブ・ルースとカール・ハッベルの対決が見たい」という新聞社への投書がきっかけとも言われている。
日米ともにレギュラーシーズンのなかで交流戦がはじまったことにより、オールスターゲームでしか見られない対決はなくなった。“新鮮味”といった点では物足りないかもしれないが、そのなかでもオールスターゲームの価値を高めるために、メジャーリーグではあらゆる工夫がなされている。
今回のDeNAの企画を受け、日本プロ野球全体でオールスターゲームを盛り上げようという動きが出てくることを願ってやまない。
文=京都純典(みやこ・すみのり)