指名打者の打率が1割台に低迷
一時は最下位に低迷していた楽天だが、7月3日終了時点で31勝41敗2分、リーグ5位につけている。ただ、クライマックスシリーズ進出圏内の3位まで11ゲーム差と厳しい状況に変わりはない。
2013年に球団初の日本一に輝いたが、その後は2年連続最下位とチームの立て直しを計っている。そういった状況で若手を多く起用していることもあるが、なかなか明るい話題が少ない。とくに、打線はチーム打率がパ・リーグ5位の.251。本塁打も12球団最少の37本と迫力に欠ける。なかでも指名打者と一塁手の不調が、今季ここまで苦戦している一因だ。
ソフトバンク 率.256 本 7 点33
日本ハム 率.297 本12 点39
楽天は、7人の選手を指名打者としてスタメンで起用しているが、7人合計の打率は.197でパ・リーグワーストだ。28打点はいずれもオリックスに次いで少ない。
松井稼頭央 試10 率.200 本1 点2
牧田明久 試 1 率.000 本0 点0
枡田慎太郎 試 7 率.200 本0 点0
ウィーラー 試24 率.239 本7 点19
アマダー 試 4 率.071 本0 点0
伊志嶺忠 試 1 率.250 本0 点0
ゴームズ 試18 率.169 本1 点7
パワーヒッターの指名打者として期待されたゴームズが日本の野球に馴染めず5月中旬で退団し、体重135キロの巨漢で話題を呼んだアマダーもケガが相次ぎ、力を発揮できていない。外国人選手は当たり外れが多いとはいえ、それでも指名打者の打率が1割台で本塁打も少なければ苦戦は免れない。
パワーヒッターが不在では……
指名打者と並び、打線のなかでポイントゲッターの役割を果たすことが多い一塁手も今季の楽天は結果を残せていない。規定打席に到達した13年からの2年間は打率3割を記録していた銀次を63試合で一塁手としてスタメン起用しているが、打率.238、1本塁打、27打点と極度の不振に陥っている。
パ・リーグ各球団、一塁手の成績(途中出場は含まない)
ソフトバンク 率.313 本12 点59
西武 率.262 本22 点57
楽天 率.230 本 2 点33
楽天は、パ・リーグのなかで一塁手の打率、本塁打、打点が最少にあり、ポイントゲッターとして機能していないことが明白である。銀次が復調すればいいが、それでもアベレージヒッターということもあり、一発長打を求めるのは酷だろう。
本来はやはり、打線のバランスを考えても一塁手か指名打者にはパワーヒッターを置きたい。外国人野手を補強する際にパワーのある一塁手か指名打者を探すケースが多く、他球団を見ても一塁手か指名打者のどちらかにはパワーヒッターを置いている。楽天は、ほかのポジションで長打を期待できる選手も少なく、厳しい状況だ。今後の編成の課題になってくると思われる。
いくら若手を育てても、いきなり長打を打てて打点を多く稼げる選手になることは少ない。指名打者か一塁にパワーヒッターを置かない限り、今季に限らずしばらくの間は苦戦必至なのではないだろうか。
文=京都純典(みやこ・すみのり)