“六冠”も見えた!?驚異的な成績を残す山田
23歳にして早くも“プロ野球史上最高の打者”ともささやかれ始めたヤクルトの山田哲人。
昨季のトリプルスリーに続き、今季は打撃3部門でリーグトップ。それどころか、7月7日終了時点で出塁率、安打数、盗塁もトップに立ち、全タイトル制覇の“六冠”まで視野に入っている。
セ・リーグで三冠王といえば、1986年のランディ・バース(当時阪神)が最後。30年ぶりの偉業に期待が高まるが、この打撃3部門で山田を脅かす存在になりそうな選手は誰か。残り3か月、いずれかの部門で山田を上回る選手は現れるのか探ってみた。
山田の三冠を阻むのは...?
まずは本塁打部門から。山田は両リーグ最多の28本を放っている。
ここまで年間50本近いペースで量産しており、2位の筒香嘉智(DeNA)とは8本差。筒香も開幕から好調をキープしているとはいえ、後半戦だけでこれだけの差を追いつくのは容易なことではないだろう。山田にケガさえなければ、2年連続の本塁打王はほぼ当確といってよさそうだ。
続いて打率はどうか。山田は現在.344。7日のDeNA戦でも3打数2安打とマルチ安打を記録し、さらに数字を上昇させている。
2位につける坂本勇人(巨人)にはとは2分の差。今季はバットが振れているとはいえ、坂本のキャリアハイが2012年の.311であることを考えると、ここから山田を捉えて逆転することは至難の業となるだろう。打率部門でも山田が逃げ切る可能性は高そうだ。
最後に打点部門。ここまで2位に14点差の69打点を挙げ、セーフティーリードを保っている。
山田を追随するランキング上位選手を見渡してみると、各チームの主軸がズラリと名を連ねるが、最も不気味なのは15点差の5位につけるバレンティンかもしれない。
6月以降は1本塁打、11打点と持ち前のパワーが鳴りを潜めているものの、60本塁打のプロ野球記録を樹立した2013年には、なんと8月だけで18本塁打、35打点を記録した。打ち始めると止まらないタイプであり、また前を打つ山田が高い出塁率を誇るだけに、打点を挙げる機会には困らないだろう。
シーズン最終盤、バレンティンの活躍で山田が生還し、バレンティンが打点王に輝く……。そんなことも当然考えられる。
思い返せば昨季、山田は本塁打王に輝いたものの、打率と打点ではともに2位に終わり、三冠王を逃した。
その時、首位打者に輝いたのが川端慎吾であり、打点王は畠山和洋。いずれもチームメートとの争いに敗れたものだった。
リーグ30年ぶりの三冠王へ向けて……。最大のライバルは、今年も身近なところに潜んでいるのかもしれない。
【山田哲人・成績詳細】
☆山田哲人
83試合(1位)
打席373(2位)
打数302(9位)
得点70(1位)
安打104(1位)
二塁打21(1位)
三塁打2(-位)
本塁打28(1位)
塁打数213(1位)
打点69(1位)
盗塁18(1位)
盗塁刺1(-位)
犠打0(-位)
犠飛4(5位)
四球64(1位)
死球3(-位)
三振56(8位)
併殺打8(5位)
打率.344(1位)
出塁率.458(1位)
長打率.705(1位)
※成績は7月7日時点、()内はリーグでの順位
文=八木遊(やぎ・ゆう)