12人の“逸材”たち
あれから、9カ月が経った――。
昨年10月末に行われたプロ野球ドラフト会議2015。全指名選手116名(育成含む)の内、マスコミやファンの注目を集めた栄光のドラフト1位指名選手は、たったの12名...。プロ野球選手として初めてのシーズンを過ごす彼らは今何をしているのだろうか?
今回は、各球団ドラ1選手の前半戦成績を振り返ってみよう。
【12球団・ドラフト1位ルーキー】
楽天・オコエ瑠偉(外野手/関東第一)
43試 打率.183 本塁打1 打点6 盗塁4 OPS.529
DeNA・今永昇太(投手/駒沢大)
12試(72回2/3) 5勝5敗 防御率2.48
中日・小笠原慎之介(投手/東海大相模)
5試(17回) 0勝1敗 防御率3.18
オリックス・吉田正尚(外野手/青学大)
21試 打率.263 本塁打0 打点4 OPS.635
広島・岡田明丈(投手/大商大)
11試(62回1/3) 2勝3敗 防御率3.03
西武・多和田真三郎(投手/富士大)
9試合(42回) 1勝4敗 防御率5.79
阪神・高山俊(外野手/明治大)
81試 打率.278 本塁打2 打点31 盗塁5 OPS.666
ロッテ・平沢大河(内野手/仙台育英)
6試合 打率.000 本塁打0 打点0 OPS.000
巨人・桜井俊貴(投手/立命大)
1試合(4回1/3) 0勝1敗 防御率8.31
日本ハム・上原健太(投手/明治大)
※一軍登板なし
ヤクルト・原樹理(投手/東洋大)
13試合(67回) 2勝8敗 防御率5.91
ソフトバンク・高橋純平(投手/県岐阜商)
※一軍登板なし
12名のドラフト1位選手の内、10名がすでに一軍デビュー。投手の最多投球回は今永(DeNA)の72回2/3で、最多登板は原(ヤクルト)の13試合。野手では高山(阪神)の80試合・303打席が最多だ。高山はファン投票でオールスター戦にも初出場し、初安打&初盗塁を記録した。
岡田(広島)はセ首位を走るチームで5月中旬からローテの一員として定着。開幕から存在感を発揮する大卒即戦力ルーキーたちだったが、今永は6月下旬から二軍で再調整、原は右肩の肉離れと、年間143試合を戦うペナントレースの厳しさを痛感していることだろう。
今年は高卒ルーキーも3名デビュー
高卒ルーキーでは、小笠原(中日)がすでに3試合で先発登板。そのすべてで5回3失点以内に抑えるなど、後半戦が楽しみな選手の1人だ。
先日のフレッシュオールスターで先発マウンドに上がった高橋(ソフトバンク)は、ウエスタンで2勝・防御率2.57をマーク。平沢(ロッテ)も、イースタンで61試合に出場して5本塁打・31打点という成績を残している。
1年前の甲子園を沸かせた注目のオコエ(楽天)は、前半戦だけで43試合に出場した。同じく高卒新人野手だった92年イチロー(オリックス)が40試合、93年の松井秀喜(巨人)でも57試合。近年では13年の大谷翔平(日本ハム)が77試合、14年の森友哉(西武)が41試合で、あの山田哲人でさえ、11年のルーキーイヤーは11月に開催された中日とのクライマックスシリーズが一軍初出場だった。
楽天は残り62試合……。果たしてオコエは高卒1年目シーズンにどこまで出場試合数を伸ばすことができるだろうか?
あと数カ月もすれば、2016年のドラフト1位選手が続々とプロ入りしてくる。
次から次へと新しい才能が出ては消えるプロ野球...。故障に泣き、現役を退いた元ドラ1投手は、自らの過去を「他の新人よりも注目されている分、自分から痛いとは中々言い出せなかった。今思えば、最初が勝負だった」と振り返っていた。
だからこそ、将来に向けて1年目の“ドラ1”という金看板がある内に、首脳陣に何らかのアピールはしておきたいところ。後半戦もプロの厳しい生存競争に挑む彼らドラ1ルーキーの奮闘から目が離せない。
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)