現在球界に10人存在する40代の現役選手
今年も高校球児たちの夏が始まった。
日本各地で甲子園を目指す熱戦の日々。彼らにとってその栄光の甲子園の先にある夢のプロ野球。だが、そこまで辿り着けるのはほんの一握りの若者たちだ。
何十万人というアマ球界の選手がいて、昨年のドラフトで指名されたのは育成も含めてたったの116名。そんな激しい競争を勝ち抜きプロ入りして、長年生き延び続けるベテランたちがいる。
現在球界に10人(投手4・野手6)存在する40代の現役選手である。
11日には球界最年長の三浦大輔(DeNA)が中日戦で今季初先発、打者として歴代4位タイの24年連続安打をマークするも、立ち上がりに打ち込まれ4回6失点で初黒星。厳しいプロ25年目のスタートとなった。
今回は彼ら40代選手たちの前半戦成績を振り返ってみよう。
【投手】
三浦大輔(DeNA/42歳)
1試 0勝1敗 防13.50
※一軍投手コーチ兼任
岩瀬仁紀(中日/41歳)
5試 0勝1敗1ホールド 防12.00
レイ(楽天/41歳)
4試 0勝2敗 防御率7.27
黒田博樹(広島/41歳)
14試 6勝4敗 防御率2.73
【野手】
井口資仁(ロッテ/41歳)
44試 率.262 本3 点26 盗1 OPS.774
倉義和(広島/40歳)
一軍出場なし
※二軍バッテリーコーチ兼任
松井稼頭央(楽天/40歳)
35試 率.190 本2 点10 盗2 OPS.550
福浦和也(ロッテ/40歳)
一軍出場なし
サブロー(ロッテ/40歳)
一軍出場なし
相川亮二(巨人/40歳)
27試 率.242 本0 点3 OPS.645
※年齢・成績は7月12日現在
こうして見ると、一軍出場なしの選手や、成績を落とす選手が多い中で、黒田博樹の成績が図抜けているのがよく分かる。
25年ぶりのリーグ優勝を目指す広島投手陣の柱は、今季14試合に先発。そのうち10試合でクオリティ・スタート(6回3自責点以内)達成し、4月2日の巨人戦では07年6月3日・楽天戦以来となる9年ぶりの完封勝利も記録した。41歳にして、いまだ現役バリバリである。
黒田はあと1勝に迫った日米通算200勝を目指し、前半戦最終戦の13日巨人戦(マツダ)に先発予定だ。
野手では井口資仁(ロッテ)の44試合出場が最多。6月下旬までは3割近い打率を残していたが、リーグ戦再開後は無安打と不調に喘いでいる。
昨シーズン2ケタ本塁打&2ケタ盗塁を記録した松井稼頭央(楽天)も、6月11日に再調整のため登録抹消。後半戦の巻き返しを狙う。
「終わらない部活動」をつづけるベテランたち
不惑を迎えると、若い時とは役割が代わる選手も数多い。
11日に40歳になったばかりの相川亮二(巨人)は、昨季限りで引退した選手・由伸の穴を埋めるべく「代打業」に活路を見出している。
10日のDeNA戦では、同点で迎えた7回裏二死満塁の場面で代打として登場すると、走者一掃の3点タイムリー二塁打を放ってみせた。
グラウンドに立ってしまえば10代も40代も関係ない。そこでは過去の栄光なんて何の役にも立ちやしない。百戦錬磨の彼らも厳しいプロの世界で生き延びることに必死だ。果たして、40代選手の何人が来季も現役を続けることができるだろうか?
学生時代から「終わらない部活動」を続けるベテランたち。真夏の青空の真下、10代の若者が躍動するのが高校野球の醍醐味ならば、ナイトゲームで中年プレイヤーが生き様を見せるのがプロ野球の魅力である。
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)