これぞミラクル!劇的勝利で14連勝
7月10日、札幌ドームで行われたロッテ戦。日本ハムは5点を追う苦しい展開となるも、そこから奇跡的な逆襲を見せる。
7回に一挙4点を挙げて1点差とすると、迎えた土壇場9回。二死・フルカウントと追い込まれたところから、田中賢介が起死回生の同点弾。ベテランの一発で連勝ストップに待ったをかけると、延長12回にレアードがレフトスタンドへサヨナラの一発を叩き込み、日本ハムが連勝を14に伸ばした。
殊勲者は、もちろん試合に決着をつけたレアードだろう。しかし、チームの連勝と並行して自身の“不敗伝説”を伸ばしている男の貢献も忘れてはならない。
知られざる連勝の立役者?
ドラマチックな逆転劇の口火を切ったのが、プロ3年目の外野手・岡大海だ。
5点を追う7回裏、一死一塁の場面で登場すると、攻めあぐねていた相手先発・スタンリッジから1号2ラン。反撃の狼煙を上げた。
もっとすごいのは、故障で出遅れた岡が一軍に復帰したのは6月20日のこと。そう、この男の復帰以降、チームは1度も敗れていないのだ。
2013年のドラフト3位で入団した右打ちの外野手。走攻守すべてにおいて高い能力を秘めた、“日本ハムらしい”万能タイプの選手である。
2年目の昨シーズンは一軍で101試合に出場すると、リーグ4位の18盗塁を記録するなど成長をアピール。3年目の飛躍へ……今季にかける
思いは強く、球団もファンも大きな期待をかけていた。
ところが、3月のオープン戦で右足首を負傷。開幕一軍を逃し、復帰までに時間を要してしまったが、挫折を乗り越えた男はチームにいい流れと勢いをもたらす。
つづけミラクル!大逆転Vの使者となるか...
6月20日、復帰初戦となったDeNA戦で早速2安打を放つと、続く6月25日のオリックス戦では4安打の固め打ち。遅れを取り戻すような大暴れを見せる。
復帰してからここまで、13試合で打率.378(45-17)、1本塁打の6打点。出塁率は.482を記録し、盗塁も5つ決めた。完全復活どころか、進化した姿を見せつけている。
もともと野球に一途な男。大卒2年目を終えて退寮が許可された昨季オフにも、野球に集中するため、寮に残ることを選択した。キャンプ中であれシーズン中であれ、休日返上で練習に臨むことも珍しくない。そんな努力が実を結んだのだ。
大型連勝には、チーム力もさることながら、“運”という要素も絡んでくる。岡はチームに大きな戦力を上乗せするとともに、そういった“運”も運んできてくれたようだ。
7月1日からのソフトバンク戦で3連勝を挙げたこともあり、最大11.5あったゲーム差は5.5にまで縮まっている。一時は誰もがソフトバンクの3連覇を確信していたが、日本ハムの快進撃により「もしかしたら……」と思いはじめた野球ファンもいるのではないか。
チームに勢いをもたらした“負け知らず”の男。岡の復帰で運も味方につけた日本ハムは、大逆転優勝という奇跡を起こすことができるだろうか。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)