守護神がまさかの成績不振
日本ハムの守護神・増井浩俊の先発転向が話題となっている。6月20日の登録抹消以来、二軍で調整を続けているが、経過報告で一軍の練習場を訪れた際に、監督から直々に話があったという。
駒沢大、東芝を経て2009年ドラフト5位で日本ハムに入団した増井は、1年目に先発投手を務めたが、中継ぎに転向した2年目からセットアッパーとしてチーム内での地位を固めた。
そして2014年、開幕直後に離脱した武田久に代わり、本格的にクローザーを任されるようになった。翌2015年には、ソフトバンクのサファテと最後までセーブ王争いを繰り広げ、自己最多となる39セーブを挙げる活躍で、チームに欠かせない存在となった。
しかし今シーズンは開幕から調子が上がらず、防御率が7点台となった5月上旬に登録抹消。その時はすぐに一軍復帰し、再びクローザーに戻ったが、結果を残すことが出来ず、6月20日に再び二軍降格となっていた。
ここまで21試合に登板し、3勝2敗10セーブ防御率6.30。増井の不振は、日本ハムが波に乗り切れなかった要因の1つだったと言えるだろう。打倒ソフトバンクを掲げて今シーズンに臨んだチームにとっても計算外の事態だったことは想像に難くない。
先発転向へ
栗山監督は、「日本一をとるために」とこの転向を説明している。
6月20日以来、来日一年目のマーティンが抑えを任され、増井の不在によって空いた穴を見事に埋める働きを見せている。チームも連勝で波に乗っており、シーズンの山場となる後半を前に、増井という“貴重な戦力”の使いどころを模索したのだろう。力があることは間違いない。あとはその力をどうすれば生かせるか。先発の枚数が揃っているとは言い切れない現状を考えれば、試してみる価値は十分にありそうだ。
また、増井は社会人出身の即戦力として2012年の73試合をピークにここまでフル稼働してきた。リリーフピッチャーに転向した2011年からの5年間の総登板数は実に300試合を超えている。今シーズンの不調のすべてが蓄積した疲労のためだとは言わないが、登板間隔の空く先発投手への転向は、増井の今後の野球人生を考えたうえでも英断となるかもしれない。
とはいえ、「先発転向」が簡単なものではないことも事実だ。今年阪神に復帰し先発投手への転向が話題になった藤川球児も、開幕から5試合先発登板し、1勝2敗防御率6.12という結果に終わり、5月7日のヤクルト戦で、3回5安打5失点で降板して以降、チーム事情もありリリーフに戻っている。
増井自身もルーキーイヤーの2010年以来の先発ということで不安もあるだろう。しかし、これからも一軍で生き残っていくためにはどんな役割であろうとやるしかないことも理解しているはずだ。
ドラフト5位での入団から5年でチームの投手陣最高年俸選手にまで上り詰めた増井。年齢的にもプロ野球選手として油ののった時期にさしかかっている。プロ野球でのキャリアもまだ6年目、来シーズン以降のためにも今年、このまま終わるわけにはいかない。
まずは二軍での先発登板で調整ということになるが、栗山監督の計画通り8月までに増井が一軍のマウンドに戻ってくれば、パ・リーグの後半戦もまた面白くなるだろう。