打者・大谷は規定打席未満もリーグ屈指の成績
パ・リーグの優勝争いが熱い。14日の試合で2位日本ハムが楽天に逆転勝利、首位ソフトバンクは延長の末、ロッテにまさかのサヨナラ負けを喫した。その結果、最大11.5ゲームあった両チームの差は2ゲームにまで縮まった。
日本ハムをけん引するのが先月22歳になったばかりの大谷翔平だ。14日の楽天戦で、3番指名打者で出場。6回に値千金の逆転2ランを放ち、チームに勝利を手繰り寄せた。打者としてここまで71試合に出場し、17本塁打を放っているが、これは中田翔と並びチーム2位タイ。さらに規定打席には到達していないものの、打率.341、出塁率.451、長打率.654はいずれもリーグ1位に匹敵する数字である。
投手は7月24日のオリックス戦を最後に登板なし
チーム内では有原航平以外に有力となり得る選手は他に見当たらず、その有原もMVP獲得にはあと5勝は欲しいところ(現在10勝)。大谷が2ケタ勝利をクリアし、打者としても大きく数字を落とさなければ、文句なしのMVPに選出されるだろう。(もちろんチームの優勝が前提である)
その10勝に届くかどうかだが、一部報道では21日のソフトバンク戦でのマウンド復帰を目指しているという。しかし状態次第では復帰がずれ込む可能性もあるだろう。もしそうなれば打者としてだけでなく、投手としても規定投球回数に満たない恐れも出てくる。
投打で規定に到達しなかったMVPは…
投打で規定に到達しなかった場合でもMVPは獲得できるのだろうか。過去には1998年の佐々木主浩(横浜)や2011年の浅尾拓也(中日)が規定投球回数未満でMVPに輝いたが、それぞれ救援投手としてフル稼働したため。当然今年の大谷とは事情が違う。打者ではもちろん規定打席未満でMVPに輝いた選手はいない。
投手か打者どちらか単独の成績ならMVP獲得は難しいと言わざるを得ないが、“二刀流”としてチームへの貢献度はリーグ屈指。しかしまずは、しっかり先発として復活を果たし、最低2ケタ勝利、打者としても25本塁打超えを期待したい。
そうすればおのずと自身初のリーグ優勝、そして日本一へとつながっていくはずだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)