若き選手が一人前になってきたプロ野球
今季のプロ野球は若い選手の活躍が目立つ。パ・リーグなら二刀流・大谷翔平(日本ハム)が投打で魅せ、セ・リーグは山田哲人(ヤクルト)と筒香嘉智(DeNA)が異次元レベルの三冠王争いを展開している。
いずれも20代前半という年齢にもかかわらず、大谷と山田はすでに2億円プレーヤーの仲間入りを果たしている。このまま順調に数字を伸ばしていけば、今オフに年俸が4億円に達する可能性も十分あるだろう。
さらに来季以降もレベルアップしていけば、その額は5億~6億円と高騰していくことだろう。しかし、現在のプロ野球界において一人の選手にそれだけの年俸を払う余裕があるのは、ソフトバンクなど一部球団のみ。
そんな時、浮上して来るのがポスティングシステムによるメジャー挑戦だ。
カギを握る「WBC」
ヤクルトは、2011年のオフに青木宣親のポスティングを容認した。その当時、青木の年俸は3億円を超えるところ。打率のみならず長打力も兼ね備えた山田ならば、その額を上回る日もそう遠くはないはずだ。
本人が希望するかは別にして、年俸が5億円前後に達した段階というのが、ひとつポスティングを考えるタイミングとなるだろう。
さらに、もともとメジャー志向の強い大谷の場合は、山田よりも早くポスティングを志願する可能性がある。
そのタイミングというのは、早ければ2017年のオフに来るかもしれない。そこには、年俸高騰以外にもう一つ理由がある。来春行われる国際大会「ワールド・ベースボール・クラシック」(以下WBC)だ。
まだ先の話であるが、そう遠くない未来の話
来春で第4回を迎えるWBC。順当に行けば侍ジャパンの主力として活躍することが期待される彼らは、大会に出場することで大きな刺激を受けるに違いない。“憧れ”だったメジャー挑戦は、より“現実のもの”という意識に変わる。
過去の3大会を振り返ってみても、一流メジャーリーガーたちとの真剣勝負を経てメジャー志向を強め、メジャー挑戦を決断した選手も多い。
大谷や山田らが出場すれば初のWBCとなり、大いなる経験を積む。それとともに、「メジャー挑戦」という確固たる野望を抱くことになってもなんらおかしくない。
そうなると、来春のWBCを経て、来シーズンオフにポスティングを直訴するというのが自然な流れになる。
もちろん、球団としては「チームの顔」である選手をそう簡単には手放したくないだろうが、その時の状況(年俸額やチーム成績、本人の希望など)によっては容認する可能性も十分あるだろう。
特に、すでにアメリカから高い評価を受けて熱視線が贈られている大谷に関しては、挑戦時期が早ければ早いほど激しい争奪戦になることが予想される。
一部では、田中将大(現ヤンキース)をも上回る10年総額300億円という数字も...。まだ先の話ではあるが、そう遠くない未来の話だ。
スーパースター選手のメジャー挑戦は刻一刻と近づいている。
文=八木遊(やぎ・ゆう)