打線を牽引する高卒4年目の二刀流
「21勝2敗」――。
6月19日から7月26日までの23試合で日本ハムが残した戦績である。
球団新記録となる15連勝を達成すると、黒星ひとつを挟んで5連勝。勝率にして.913という驚異的なペースで白星を重ねた結果、最大11.5ゲーム差あった首位・ソフトバンクとの差は「4.5」にまで縮まった。
伝統的に投手力と守備力のチームというイメージがある日本ハムだが、今シーズンはとにかく打線が好調だ。
チーム打率.271はリーグトップの数字。昨年がリーグ3位の.258であったことを考えると、飛躍的な進化である。さらに6月19日以降の“絶好調期”に限定してみると、23試合でチーム打率は.292。全体で3割に迫るほどに打ちまくっている。
そんな絶好調打線を牽引する存在こそ、“打者・大谷”なのだ。
規定には乗らずもリーグトップクラスの成績
高卒2年目のシーズンに日本プロ野球史上初となる「10勝」&「10本塁打」を達成した大谷。しかし、昨シーズンは投手として自己最多の15勝を挙げた一方で、打つ方では打率.202、本塁打は5本と苦しんだ。
そんな中でオフに取り組んだ“肉体改造”が大きなプラスをもたらす。10キロ近い増量を果たした肉体により、強振してもバランスが崩れない。多少差し込まれてもパワーでスタンドまで運んでしまうほど、打撃の技術にも、感覚にも磨きがかかっている。
先日のオールスターゲームでは、投手としてのファン投票選出ながらホームランダービーに出場して優勝。第2戦では野手として出場して3安打1本塁打の大暴れを見せ、MVPも獲得した。
驚異的な進化を見せた大谷の打撃。ここまでの各部門の数字を振り返りながら、リーグトップの数字と比較してみよう。
▼ 大谷翔平
54試合・176打席(規定マイナス100)
打率 .347 / .333(ロッテ・角中)
安打 50 / 115(西武・秋山)
二塁打 10 / 22(ロッテ・各中ほか)
三塁打 0 / 4(ロッテ・角中ほか)
本塁打 11 / 27(西武・メヒア)
打点 32 / 72(西武・メヒア)
四球 29 / 85(ソフトバンク・柳田)
死球 1 / 11(日本ハム・大野)
出塁率 .455 / .452(ソフトバンク・柳田)
長打率 .646 / .547(日本ハム・レアード)
ご覧のような堂々たる成績。規定打席にはちょうど100足りていないものの、打率と出塁率、長打率はリーグトップの数字を超えている。打席数が少ないとはいえ、投手を平行していながらもこれだけの数字が残せるというのはもはや恐ろしい。
ちなみに、シーズンの規定打席は443打席。大谷は残る54試合のうちに267打席に立てば規定打席に到達する。1試合につき約5打席が必要な計算となるため、かなり厳しい計算だ。
投げてはエース、打っても中軸……。高卒4年目にして投打の柱となった男は、最終的にどんな数字を残すのか。後半戦も“二刀流”大谷翔平から目が話せない。