勝負の夏場に見せた緒方監督の見事な采配
いよいよ、25年ぶりの歓喜が近づいてきた。
8月24日の巨人戦で勝って、広島に優勝へのマジックナンバー20が点灯した。8月に入ってから、先発ローテーションに綻びが見えはじめたが、緒方孝市監督は勝利の方程式の一角だったブレイディン・へーゲンズを先発に抜擢。ヘーゲンズはその期待に応え、リリーフではケガや不調で出遅れた一岡竜司、大瀬良大地が快投を見せている。
ペナントレースの山場とも言える8月にそれまでの勝ちパターンを崩すのは勇気のいる決断だが、緒方監督の采配に選手が応え、優勝に向かって一気に突き進んでいる。
1991年以来の優勝ということで、若いファンの多くは前回の優勝を覚えていないだろう。「優勝したらどれだけの喜びか、いまいちピンとこない……」といった声も聞かれるが、優勝決定日はいつか、過去のデータから予想してみたい。
マジックナンバー=優勝までに要する試合数という仮説
前回、広島がリーグ制覇してから昨年までのセ・リーグ優勝チームが、マジックを点灯させてから優勝決定まで何試合を要したのだろうか。マジックがついたにも関わらず、逆転で優勝をさらわれたチームや、1992年のヤクルトのようにマジックがつかないまま優勝したチームを除き算出した(2010年の中日はマジック1がつき、移動日に阪神が負け、優勝が決まったため除外)。
1993年以降、セ・リーグ優勝チームのマジックがついてから優勝が決まるまでの通算成績は248勝172敗14分、勝率.590。優勝へのプレッシャーもあるだろうが、2011年の中日以外は、マジック点灯から優勝決定までの試合を勝ち越している。
最初に灯ったマジックナンバーよりも、マジック点灯日から優勝決定までの試合数が少ないほど順調にマジックを減らしたと言える。1993年以降のセ・リーグ優勝チームで順調にマジックを減らしたのは、1997年ヤクルト(マジック21、16試合で優勝決定)と、2012年巨人(マジック30、25試合で優勝決定)。
逆に、最初に灯ったマジックナンバーよりも、優勝決定までの試合数が多いほど、ナンバーを減らすのに苦労したと言えるが、2006年の中日はマジック40を0にするために46試合もかかった。
一般的に、マジックナンバーの数=優勝決定までに必要となる試合数と言われている。1993年以降のセ・リーグ優勝チームが灯したマジックナンバーの合計は434。優勝決定までの試合数も434と偶然にも同じだ。ということは、今年の広島もマジック点灯から20試合前後で優勝を決める可能性が高い。
この先、雨天中止などがなかった場合、マジックナンバー点灯から20試合目は9月17日の土曜日、マツダスタジアムで行われる中日戦だ。マジック点灯から6試合で一気に8も減らしているため、もう少し早くなる可能性もあるが、過去の傾向から見れば9月17日に緒方監督が宙に舞うことになる。
ローテーション通りでいけば、その試合の先発予定は黒田博樹である。「広島で優勝したい」と戻ってきた黒田が先発し、25年ぶりの優勝となればこれ以上ドラマチックなことはないだろう。
文=京都純典(みやこ・すみのり)