3年連続のタイトルはほぼ確定!
ペナントレースも大詰めを迎え、個人タイトルの行方も気になる時期になった。最後まで目が離せない熾烈な争いを見せている部門もあるが、パ・リーグの最多奪三振は則本昂大(楽天)が211奪三振で、2位・千賀滉大(ソフトバンク)の181奪三振に30以上の差をつけ、3年連続のタイトルをほぼ確実にしている。
3年以上連続のリーグ最多奪三振は、1967年~1972年の江夏豊(阪神)と鈴木啓示(近鉄)の6年、1990年~1993年野茂英雄(近鉄)の4年、1951年~1953年、1958年~1960年の金田正一(国鉄)と1980年~1982年の江川卓(巨人)の3年と過去5人6度しかない記録である。
則本は2014年に204奪三振、昨季が215奪三振で3年連続200奪三振以上を記録している。これは史上15人目(16度目)のことだ。
また、則本の奪三振率は2014年が9.06、昨季が9.94で今季は10.05と年々上がっている。200奪三振と奪三振率9.00をともに3年連続以上で記録すると、1968年~1971年の江夏と1990年~1993年の野茂の4年、2008年~2010年の杉内俊哉(ソフトバンク)の3年に次ぎ史上4人目となり、右腕としては野茂以来の記録である。
今季の則本は26試合に登板し、2桁奪三振が7試合。投球回と同じか、それ以上の奪三振を奪った試合は20試合。さすがの奪三振能力の高さを見せている。
三振の多さ故に増える“リスク”とは...
ピッチャーがバッターを打ち取る方法は、ゴロを打たせるか、フライを打たせるか、三振を奪うかの主に3つだ。そのうち、ゴロとフライは野手のプレーが関わるため、エラーの可能性がある。当たり前の話ではあるが、三振を奪うことが最も安全に打者を打ち取る方法だ。
一方で、三振を奪うためには最低でも3球投げる必要があるため、球数が多くなりやすい欠点もある。
そこに則本のリスクがある。則本は2014年以降、最多奪三振のタイトルとともにリーグ最多投球回を記録し、シーズントータルの球数も2014年が3221球、昨季が3196球とリーグ最多だ。
今季もここまで3152球で、3年連続で3000球以上を投げている。2014年以降、パ・リーグでシーズン3228球以上投げている投手は、則本以外に2014年の金子千尋(3000球)と2015年の涌井秀章(3127球)のふたりしかいない。
奪三振が多いため、球数が増えるのも仕方ないかもしれない。ただ、気になるのは1イニングごとの平均球数も2014年が15.9球、昨季が16.4球、今季はリーグで2番目に多い17.4球と増えている点だ。年々、バッターを仕留めるのに球数がかかっていると考えられる。
球数の多いシーズンが続くと、どうしても故障の心配が頭をよぎる。入団から4年連続2桁勝利に、毎年200イニング前後投げることを思えば、則本は楽天投手陣の大黒柱であることは言うまでもない。奪三振を奪いながらも、少しでも球数を少なくするワンランク上のピッチングを目指す時期にきているのかもしれない。
文=京都純典(みやこ・すみのり)