攻撃型のオーダーを組みながらも減った失策
3年連続Bクラスに終わった西武。619得点は日本ハムと並び、パ・リーグ2位。チーム打率もリーグ2位、128本塁打はリーグ最多と攻撃力はリーグでもトップクラスの記録を残した。一方で、防御率3.85はリーグ4位、失策は4年ぶりに3桁の101を記録し12球団最多と近年の課題である守りの面では今季も泣かされた。
振り返れば、今季の西武は28試合を消化した4月終了時点で28失策も記録していた。1試合1失策をしていた計算で、5月に14失策、6月に22失策、7月に17失策とシーズンが進んでもなかなか改善されなかった。
そこで田辺監督は、8月から攻撃型のオーダーを組むようになる。失点を防げないならそれ以上得点をあげようという考えだ。具体的には、指名打者での起用が多かった森友哉を捕手で、ファームでダントツの本塁打数を記録しながら守りに不安のある山川穂高を一塁手で起用するようになったのだ。
森は8月に打率.281、9月も打率.298と守りの負担が増しながらも打撃でも結果を残し、山川は8月以降で35試合に出場し、11本塁打と長打力を発揮。チームも8月は14勝10敗、9月は11勝10敗1分と2カ月連続で勝ち越した。また、失策数も8月は11失策、9月は9失策と攻撃型のオーダーを組みながらも7月までより減らした。
ドラフト会議でアマチュア屈指の守備力を誇る源田壮亮を指名
来季に向けてチームとしての戦い方が見えてきたように思えたが、田辺徳雄監督は退任。西武黄金時代の名二塁手だった辻発彦が来季から指揮を執ることになった。
辻新監督は、ひとつの方針として「1点にこだわる野球」を掲げたが、現役時代に守備の名手だった監督が指揮を執ると、守りを重視する傾向にある。今季終盤に結果を残した捕手の森や、山川は守りの面ではまだ不安が多い。となると、また一からチームを作り直す可能性が高い。前述したように、シーズンの終盤にはチームの形が見えてきただけに、あまりにも守りを重視するようだとチーム作りがうまくいかなくなるのではないだろうか。森や山川以外にも、中村剛也、栗山巧、金子侑司と西武の主力には守備よりも打撃や走塁が得意な選手が多い。そのあたりのバランスをうまく見極めたいところだ。
ただ、今季7人もスタメンで起用するなど、固定できなかったショートに関しては光が見える。先日のドラフト会議の3位で西武はトヨタ自動車の源田壮亮を指名した。源田のショートの守備はプロでもトップクラスといっても過言ではない。打撃に課題は多いものの、ショートに源田が入るだけで西武の内野守備がぐっと締まるはずだ。夏場以降、スタメンで起用されることが多かった呉念庭やベテランの鬼崎裕司、高い守備力の永江恭平との争いになるが、新監督が新人を起用するという傾向もあり、源田にも大いにチャンスがあるだろう。内野の要ともいわれるショートだけに、少しでも早く固定したい。
ショートに誰を起用するかは、辻新監督が目指す野球における“最初のメッセージ”になるのではないだろうか。
文=京都純典(みやこ・すみのり)