コラム

岸、細川、中島、片岡…「2008年の西武ライオンズ」は今

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08年に日本一を達成した西武(C)KYODO NEWS IMAGES

今オフは岸が楽天へ...


 またも西武ライオンズから主力選手が去った。

 エース・岸孝之が楽天へFA移籍。出来高も含め最大16億円の4年契約、塩見貴洋の背番号を変更させて「11番」を与えるVIP待遇での地元凱旋となった。

 来季は則本昂大とのダブルエースが期待される岸だが、全国区の選手となるきっかけはプロ2年目、巨人と対戦した2008年日本シリーズだろう。


最強で最高だった08年の若獅子軍団


 この年、12勝を挙げた岸は第4戦に先発すると、毎回奪三振の快投を披露。初登板・初完封を成し遂げた。

 さらに2勝3敗と王手をかけられた第6戦では、中2日にもかかわらず4回途中からマウンドに上がり、5回2/3を無失点に抑えてシリーズ2勝目。結果的にチームは続く第7戦にも競り勝って日本一に。大車輪の活躍をした岸も見事MVPに輝いた。

 今から8年前...。あの頃の西武は渡辺久信監督の下、若手が躍動する魅力的なチームだったが、当時の主力選手の多くはすでにチームを去っている。今回は最強で最高だった「2008年の西武ライオンズ」を支えた選手たちのその後を追ってみよう。


▼ 片岡治大(現巨人/当時25歳)
08年:139試 率.287 本4 点46 盗50 OPS.693
16年:32試 率.222 本2 点4  盗4 OPS.609

 プロ4年目の片岡は50盗塁で2年連続のタイトルを獲得。さらに167安打で同僚の栗山とともに最多安打にも輝き、二塁手としてベストナイン選出。最高のシーズンを過ごした1番打者は、日本シリーズでも7試合連続安打、5盗塁の活躍を見せた。

 この時、敵軍ベンチでそのスピードに衝撃を受けた巨人の原監督は、5年後の13年オフにFAとなった片岡を獲得。加入時には自らが現役時代につけた背番号8を譲る熱の入れようだった。しかし、今季33歳の片岡は故障に泣き、プロ入り以来最低の32試合の出場に終わっている。


▼ 中島宏之(現オリックス/当時26歳)
08年:124試 率.331 本21 点81 盗25 OPS.937
16年:96試 率.290 本8 点47 盗1 OPS.785 

 08年、北京オリンピックの日本代表に選出された中島は、打率.331とキャリア最高の打撃成績をマーク。出塁率.410で最高出塁率のタイトルを獲得し、ショートのポジションでベストナインとゴールデングラブ賞も初受賞。その後も西武の中心選手として君臨し、11年にはポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を目指したが、ヤンキースと契約合意に至らず。翌12年に海外FA権を行使してアスレチックスに移籍した。

 だが以降の2年間でメジャー出場はなく、15年からオリックスでNPB復帰。年俸3億5000万円の3年契約という破格の条件ながら、不本意なシーズンが続いている。契約最終年の来季は35歳、正念場の1年になるだろう。


▼ 細川 亨(現楽天/当時28歳)
08年:133試 率.238 本16 点58 OPS.674
16年:49試 率.226 本1 点6 OPS.500

 08年は正捕手としてキャリア最多の16本塁打を放ち、ベストナインとゴールデングラブ賞を初受賞。日本一から2年後のオフに同リーグのソフトバンクへFA移籍すると、移籍初年度の11年シーズンにいきなり球団8年ぶりの日本一に貢献した。

 その後、6シーズンを福岡で過ごすも、今オフにファームコーチ就任オファーを固辞し退団。現役にこだわる36歳は自身パリーグ3球団目の楽天で再出発を切る。皮肉にも、東北の地で岸孝之との元西武バッテリーの復活となる。


▼ 涌井秀章(現ロッテ/当時22歳)
08年:25試 10勝11敗 防3.90
16年:26試 10勝7敗 防3.01

 前年の07年には17勝で最多勝を獲得。08年、入団4年目にして西武のエースとして君臨していた男はペナントこそ不調だったが、日本ハムとのクライマックスシリーズでは完封を含む2勝を挙げシリーズMVPを獲得。日本シリーズでも第1戦で巨人のエース上原浩治(現レッドソックス)に投げ勝ち意地を見せた。

 翌09年にも16勝で2度目の最多勝。松坂大輔(現ソフトバンク)を継承する不動のエースとして定着したかに思われたが、10年オフには年俸調停を申請。12年にはクローザーとして30セーブも、度々女性スキャンダルが写真週刊誌で報じられ、5勝に終わった13年オフには心機一転、ロッテへFA移籍。西武時代の恩師・伊東監督の元、先発投手として起用されると15年には15勝を挙げ自身6年ぶりの最多勝を獲得した。今オフ、モデルの押切もえと結婚。男30、公私ともに順風満帆である。


理想的な“個性派集団”


 さらに08年の西武には彼らに加え、当時25歳の栗山巧が167安打で片岡と最多安打のタイトルを分け合い、同じく83年生まれのおかわり君こと中村剛也が46本で初の本塁打王に輝いた。

 そこにクレイグ・ブラゼルやG.G.佐藤、後藤武敏、平尾博嗣といった個性的な選手が加わり、西口文也を中心にまとまった投手陣は涌井秀章、岸孝之、帆足和幸、石井一久と4名が2ケタ勝利に到達。抑えではアレックス・グラマンが31セーブを記録。2008年の西武ライオンズはベテランと助っ人、そしてなにより20代の若手選手たちが躍動する理想的なチームだったように思う。

 あれから8年...。あの頃の主力選手で今もチームに残るのは、ともに33歳のベテラン選手になった栗山巧と中村剛也のみである。


文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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