コラム 2016.12.09. 18:00

データで振り返る!メジャー日本人選手の2016年 ~田中将大 編~

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ヤンキースの田中将大

田中将大の2016年


 今季は自己最多となる14勝を挙げた田中将大。自身初の200イニング到達は惜しくも逃したが、メジャー3年目にして初めて長期離脱なくフルシーズンを投げ抜いた。

 最終的には31試合に登板し、14勝4敗。名門ヤンキースのエースとして恥じぬ活躍を見せた。

 しかし、今季も肘に爆弾を抱えたままの投球が続き、速球の伸びに関しては故障前の水準にはない。2014年に9.31だった奪三振率は、2015年には8.12、そして今季は7.44と2年続けて大きく下げている。

 それでも、シーズン終盤まで最優秀防御率争いに加わるなど、防御率はア・リーグ3位の3.07。勝率も同5位の.778をマーク。三振を次々と奪う派手な投球は鳴りを潜めたが、自慢の投球術で開幕から安定感あるパフォーマンスを続けた。


“省エネ投球”が奏功


 制球は相変わらずメジャーでも屈指の精密さを誇り、与四球率はア・リーグ3位の1.62。1イニングあたりの投球数は、ア・リーグの規定に達した39投手の中で最も少ない14.70をマークするなど、“省エネ投球”に徹した。

 その結果、全31試合中ほぼ半数の14試合で7イニングを投げ切ることに成功するなど、救援陣の負担軽減の一端を担う活躍へと繋がったのだった。

 “省エネ投球”が好結果をもたらした理由のひとつは、その配球にある。

 ボールの回転軸の角度やスピード・変化量によって球種を自動判別する「PITCH f/x」によると、田中のフォーシームの投球割合はメジャー1年目の2014年から大きく減っている。2014年は25.1%と全投球の約4分の1を占めていたが、その翌年には19.4%、そして今季はわずか6.5%まで急減した。

 いわゆる“ストレート”を大幅に減らし、ツーシーム、スライダー、スプリッターなどの多彩な球種を織り交ぜるスタイルへと変化。そうして打者を料理していたことになる。


課題は「ヨコの変化」


 実は、田中のフォーシームというのは過去2年間で最も打たれていた球種の一つだった。

 過去2年間のフォーシーム投球時の被打率は.311。被本塁打は15本にも上った。今季はこの球種を大幅に減らすことで、打者に的を絞らせなかったのだ。

 一方で、自身の武器である「スライダー」は過去2年で被打率.151、合計6本塁打だったのが、今季は被打率が.239、被本塁打は過去2年間の合計を大きく上回る10本まで悪化している。

 さらにカットボールも、過去2年の被打率.176が、今季は.375と悪化。スライダーとカットボールという“横変化”の2つの球種をいかに改善できるかが、今後の課題となるだろう。

 来季はエースとして最低15勝に200投球回、そしてチームもポストシーズンへ...。田中にかかる期待は大きい。

▼ 田中将大
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生年月日:1988年11月1日(28歳)
身長/体重:190センチ/97キロ
投打:右投右打
ポジション:投手
経歴:駒大苫小牧高-楽天(06年高D1)-ヤンキース
[今季成績] 31試 14勝 4敗 奪三振165 防御率3.07
[通算成績] 75試 39勝16敗 奪三振445 防御率3.12


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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