外国人投手通算勝利数は歴代7位
阪神・金本知憲監督が、来季の開幕投手を、在籍8年目を迎えるメッセンジャーに任せる考えであることを明かした。異例とも言える早期の決断だ。もし実現すれば、メッセンジャーが開幕投手を務めるのは3年連続で通算4回目のこととなる。
これは、外国人投手としては、スタンカ(元南海、大洋)、ミンチー(元広島、ロッテ)の3回を抜き、スタルヒン(元巨人ほか)の5回に次ぐ史上2位の回数である。ただ、幼少時にロシアから日本に亡命したスタルヒンのキャリアは全て日本でのもの。純粋な意味での助っ人外国人ではなく、実質的にはメッセンジャーが単独トップという見方もできる。
そもそも、日本のプロ野球での外国人選手は足りない戦力を手っ取り早く補う“助っ人”としての意味合いが強い。その理由からも、メッセンジャーほど長く日本のチームに在籍するケースはそう多くはない。そして、当然ながら、開幕投手はチームのエースに任せるケースがほとんど。結果を残しているからこそ長年にわたって在籍し、かつ、チームに信頼されていることのなによりの証である。
身長198cmの巨漢から投げ下ろす威力抜群のストレートに、質の高いフォークやカーブを交え、メッセンジャーが7年間で積み上げた勝利は73。スタルヒンの303勝は別格としても、外国人投手の通算勝利数ではミンチーの74勝に迫る歴代7位の数字である。しかも、来日1年目の2010年(5勝)、2015年(9勝)を除き、5シーズンで2桁勝利を挙げるという、安定感抜群の優良助っ人ぶりだ。
打ち込まれた広島へのリベンジを果たし開幕ダッシュを決める!
かつ、メッセンジャーは勝利への執念や先発投手としての責任感が強く、開幕投手にも並々ならぬこだわりを持っている。開幕投手から外されるとすねてしまうとさえ言われるほど。そのこだわりの試合である開幕戦、メッセンジャーの過去3回の戦績は、1勝1敗(2015年は勝敗つかず)。当然ながら、勝ち越しておきたいところ。
来年3月31日の開幕戦の相手は広島。今季、メッセンジャーの広島との対戦成績は3試合に先発して1勝1敗と五分である。しかし、被打率.426と打ち込まれ、13投球回で19失点(自責点18)、防御率12.46と、内容的には厳しい結果に終わってしまった。2016年のチャンピオン・広島へのリベンジにも燃えているはずである。チームを12年ぶりの優勝に導くべく、虎の史上最強助っ人が開幕ダッシュを牽引する。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)