ナ・リーグ　地区シリーズ

ナショナルズ ― ジャイアンツ
＜現地時間10月3日～9日 5試合制＞

　一発勝負のワイルドカードゲームが終わり、地区シリーズの幕が開けたMLBのプレーオフ。ア・リーグから1日遅れて明日から、ナ・リーグでもリーグ優勝決定戦進出をかけた戦いがはじまる。

　エース・バムガーナーがワイルドカードゲームで一世一代の投球を見せ、敵地でパイレーツに圧勝したジャイアンツ。ド派手なグランドスラムもその後の適時打も共通していたのが、相手の四球が絡んでいたという点。「四球は投手のエラー」とも言われるが、相手からもらったチャンスをしっかり得点に結びつけるあたりはさすがにここ4年で2度世界一に輝いた短期決戦巧者らしい戦いぶりであった。

　ジャイアンツの明日の先発はベテランのピービー。今季途中にレッドソックスからジャイアンツへと移籍してきたメジャー通算139勝右腕は、今季7勝13敗で防御率3.73という成績であるが、ジャイアンツ移籍後に限ると6勝4敗で防御率2.17と安定した投球を見せている。百戦錬磨のベテランに大事な初戦のマウンドを託す。


　迎え撃つは東地区優勝、今季ナ・リーグ最高勝率をマークしたナショナルズ。上述の通りチーム防御率メジャートップを誇る投手陣は、先発陣で10勝到達者5人、リリーフ陣は50試合以上登板が5人と質・量兼ね備えた磐石の布陣を形成している。加えて攻撃陣もリーグ3位の得点数で得失点差131はリーグトップ。バランスに優れ、リーグ優勝の本命と目されているチームだ。前回の2012年は地区シリーズで敗退しているだけに、今年はこの壁を越えて行きたい。

　打線のカギを握るのはベテラン・ワース。6度のプレーオフ経験があり、通算14本塁打を放っている35歳はチームで唯一の世界一を知る男。若手が多いチームの中で頼りになる存在だ。また、今シーズン不振に苦しんだ2012年の新人王・ハーパーに復調の兆しが見えているのも大きな点。手のケガで調子を崩し、シーズン13本塁打に留まったものの終盤8・9月だけで10本塁打をマークした。不完全燃焼に終わったシーズンの分、プレーオフでの爆発に期待がかかる。

　ナショナルズは初戦のマウンドにストラスバーグを送る。今シーズン14勝11敗、リーグトップタイの242奪三振を記録した。前回は投球制限により投げることができなかった豪速球右腕が、2年越しのプレーオフに挑む。

　ジャイアンツはバムガーナー以降の先発陣がやや手薄であり、かなり苦しい戦いが想定される。39歳のハドソンや元阪神の37歳・ボーグルソンなどベテラン陣に頼らざるを得ないというのが現状で、バムガーナー以外の2ケタ勝利達成者は中継ぎ待機が決まっているリンスカムだけである。ナショナルズは2戦目以降も16勝（6敗）のフィスター、最終戦でノーヒッターをやってのけた14勝（5敗）のジマーマン、10勝（10敗）のゴンザレスが構え、ロアークに至っては15勝（10敗）を挙げながら中継ぎ待機が予想されるほど先発陣が豊富。この差を埋めていくことができるだろうか。

　試合は1・2・5戦目がナショナルズの本拠地であるナショナルズ・パークで、3・4戦目はジャイアンツの本拠地・AT&Tパークにて行われる。勢いと経験がぶつかり合うナ・リーグ地区シリーズの初戦は現地時間10月3日午後3時（日本時間10月4日午前4時7分）、プレイボール。