ア・リーグ優勝決定シリーズ 第3戦
☆ ジャイアンツ － カージナルス ☆
＜現地時間10月14日　AT&Tパーク＞

　伏兵とは呼ばせない。地区シリーズのドジャース戦でチームを勝利に導く一発を放ったコルテン・ウォンが、今度はサヨナラ弾。シリーズ男候補に名乗りを挙げる23歳の若者の活躍で歓喜に沸いたセントルイスではあったが、その裏でチームは危機に瀕している。

　第2戦の6回、打席のモリーナが外寄りの速球を捕えた瞬間、その場で膝に手を突いて動くのをやめた。モリーナは二ゴロ併殺に倒れ、そのままベンチ裏へと引き上げて行き、試合から姿を消した。

　モリーナは一度、夏場に親指の負傷で戦列を離れ、今季は110試合の出場に留まった。しかし、08年から昨年まで6年連続でゴールドグラブに輝いているメジャーでも屈指の捕手であり、昨年はシルバースラッガー賞も獲得したカージナルスにとって攻守の柱である男の痛すぎる負傷。
　
　幸いにもロースターを外れるほどの大けがにはならず、なんと1日経った今日、キャッチボールできるまでに回復したとの情報も。監督は治療を続け、様子見としているが、果たして今後の起用法がどう変わっていくか。モリーナの回復具合がシリーズの行方を左右すると言っても過言ではなさそうだ。

　第2戦でモリーナに代わって入ったクルーズは、メジャー4年目の若手捕手。3イニングのマスクながらパスボールを記録し、9回に同点とされてしまったローゼンタールのワイルドピッチも、あるいはモリーナなら、と思ってしまうものであった。

　そこで、カージナルスのロースターにはもう1人捕手がいる。37歳の大ベテラン、ピアジンスキーだ。13年はレンジャーズで134試合に出場。ダルビッシュが9回二死まで完全試合をしていた4月のアストロズ戦でもマスクを被っていた選手である。今季からレッドソックスへ移籍したものの、シーズン途中で解雇され、モリーナの負傷離脱によって捕手の補強が急務であったカージナルスに拾われる形となった。優勝をかけた大一番で、プレーオフ4回、世界一も1回経験しているメジャー17年目の大ベテランはチームにとって心強い存在になる。

　加えて、明日のカージナルスの先発はラッキー。7月末にレッドソックスからトレードでカージナルスにやってきた35歳右腕とピアジンスキーは、シーズン序盤にコンビを組んでいた者同士。ラッキーもプレーオフ6回、世界一2回を経験するベテランであり、バッテリーあわせてプレーオフ10回、世界一3回と言う大舞台の経験豊富なコンビが完成する。

　経験豊富なベテランコンビがチームの窮地を救って見せるか。サンフランシスコに移っての第3戦は現地時間10月14日午後4時（日本時間午前5時7分）、プレイボール。