ニュース 2014.12.05. 18:14

成瀬、大引を獲得したヤクルトに振りかかる“FA補償”

 日本ハムからFA宣言した大引啓次が5日、ヤクルトの入団会見を行った。大引はFAの補償対象選手(Bランク)ということもあり、移籍先の球団であるヤクルトは、前球団である日本ハムに対して金銭補償、または前球団が指名した選手1名を与える人的補償を支払わなければならない。また、ロッテからFAで獲得した成瀬善久も補償対象選手(Bランク)であり、同様の手続きを踏むことになる。

 昨年オフには、巨人が広島の大竹寛、西武の片岡治大と補償対象選手となるFA選手を2人獲得。補償として広島に一岡竜司、西武に脇谷亮太を失った。昨年の巨人と同様、ヤクルトも一気に2人の選手が流出してしまう怖れがある。

 そうなると気になるのが、ヤクルトのプロテクト選手28名。相手の戦力を見て若干の変更はあるものの、一般的には小川泰弘や山田哲人といった主力選手や、将来有望な若手選手たちから優先的にプロテクトされることになる。となると、力を発揮しきれていない中堅からベテラン選手のプロテクト漏れの可能性は当然高くなる。

 特に、大引が在籍していた日本ハムは、今シーズン限りで稲葉篤紀と金子誠が現役を引退。チームにベテランと呼べる選手が少ない。もし、ヤクルトで存在感を見せていた中堅、ベテランの選手がプロテクト漏れするようなことがあれば、獲得に乗り出して来ることも十分に考えられる。

 ただし、選手を失う心配ばかりではない。ヤクルトから巨人へFA移籍し相川亮二も補償を必要とする選手であり、巨人から金銭補償または人的補償を得ることができる。リーグ3連覇中の巨人は層が厚く、昨年の一岡のようなプロテクト漏れ選手の中に一軍で十分活躍ができるような戦力が含まれている可能性も大いにある。

 ヤクルトには過去に07年オフ、石井一久の人的補償として獲得した福地寿樹が移籍後ブレイクを果たして盗塁王に輝いたという例もある。大物選手の移籍の影で動く人的補償選手に、今年も注目したい。


フリー・エージェントの補償制度

 各球団ごとに日本人選手の旧年俸順に上位3人までをAランク、4番目から10番目までをBランク、それ以下をCランクと分け、それぞれ補償の程度を決める。
・Aランク=人的補償1名+旧年俸の50%の金銭。または旧年俸の80%の金銭。
・Bランク=人的補償1名+旧年俸の40%の金銭。または旧年俸の60%の金銭。
・cランク=補償なし。

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