いよいよ開幕まで1週間を切ったプロ野球界。各チームともオープン戦を消化しながら陣容を整えつつある中で、昨シーズン戦力外を言い渡された中日の八木智哉とロッテのチェン・グァンユウ（陳冠宇）が、開幕ローテーション入りを確実なものにしつつある。

　昨季オリックスを戦力外となり、トライアウトを経て中日入りを果たした八木。日本ハム時代は1年目から先発ローテを支え、チームの日本一に貢献。12勝を挙げ新人王にも輝き、左腕エースとしてさらなる飛躍が期待された。

　だが、2年目の2007年以降は故障もあり低迷。09年は9勝を挙げ復活の兆しを見せたが、10年、11年はいずれも1勝止まり。そして2013年の春季キャンプ前にオリックスへのトレード移籍が発表された。新天地での発奮が期待されたが、オリックスでも2シーズン連続で未勝利。そして今季、中日に拾われる形でプロ10年目のキャリアをスタートさせた。

　春季キャンプから一軍メンバー入りした八木は、キャンプ中の実戦から猛アピール。これまで4試合に先発したオープン戦でも防御率1.89と安定感を発揮し、2試合に登板した古巣・オリックス戦では「打たれたくない気持ちが強かった」と2戦2勝。この意地の好投もあり、開幕ローテ入りを掴み取った。

　八木と同じくトライアウトを経てロッテ入りしたチェンも、15日の巨人戦で6回無失点と好投するなどオープン戦で結果を残した。伊東監督も「こういうタイプの左腕がいない」と太鼓判。落合投手コーチも「開幕ローテーションに入っている」と明言し、ソフトバンクと対戦する開幕カードでの抜擢案も浮上している。

　育成枠から這い上がったDeNA時代は外国人枠の問題もあり、なかなかチャンスに恵まれなかったチェン。しかし、24歳とまだ若く、指揮官も「掘り出し物」と素質を評価している。制球面など課題も残すが、成瀬善久の穴埋め役としても期待がかかる伸びしろ充分な左腕だ。

　上記2投手と同じく戦力外を経てDeNA入りした東野峻も、オープン戦6試合で防御率1.50と好投。こちらは20日に二軍調整を命じられ開幕一軍入りこそ逃したが、いずれチームの力になるときが来るだろう。

　今年は各チームとも開幕前の離脱者が多く、総合力が問われそうな新シーズン。その中で、地獄から這い上がった男たちの復活劇に期待したい。