8日の金曜日から行われた敵地・甲子園での阪神戦で3連勝を飾り、一気にセ・リーグ最下位を抜けだした広島。
連勝を6まで伸ばし、ここに来ていよいよ復調の気配が漂ってきたかに見えたが、週が開けて12日からの巨人戦であえなく連敗。3カードぶりの負け越しで、阪神に同率5位に並ばれた。
特に痛かったのがエースの前田健太で落とした初戦。菅野智之との今シーズン3度目のエース対決となった試合は、1点リードの7回に堂上剛裕に適時二塁打を浴び、同点とされると、その後自らのワイルドピッチで決勝点を献上。痛い星を落とした。
昨年から、どうも「ここぞ」という勝負どころで勝ち切れない印象が強い鯉のエース。
最も象徴的だったのが、昨年のレギュラーシーズン最終戦となった10月6日の巨人戦。引き分け以上で2位が確定し、球団初のクライマックス・シリーズ本拠地開催権がかかった試合、相手は優勝の決まっている巨人で、先発は2ヵ月ぶり3度目の登板となる宮国椋丞という条件だった。
戦前は広島優位の見方が多くを占めていたが、試合は逆転負け。味方の援護が1点に留まったこともあったとはいえ、まさかのボークで失点を喫するなど、大一番でエースらしさは影を潜めた。
結局この試合を含め、前田は8月以降で2勝5敗。悲願のリーグ優勝がかかった大事な終盤戦で調子を落とし、最終的には勝率わずか3厘の差で2位も逃す結果となってしまった。
もちろん、すべてが前田一人の責任というわけはなく、またこういった印象だけで責めることはできないというのも事実。
今シーズンはここまでで8試合に登板し、防御率は堂々の1.59。先発投手の能力を図る指標として近年ポピュラーになりつつあるクオリティ・スタート(QS=6回以上を投げて自責点が3以内)で見てみると、前田は今シーズン登板した8試合すべてでそれをクリアしている。
それどころか、QSから派生して新たに提唱されているハイクオリティ・スタート(HQS=7回以上を投げて自責点が2以内)で見ても、8試合すべてでその基準をクリア。先発投手として極めて優秀な成績を残していることに疑いはないのだ。
ただし、そこは今や日本のエースとして球界に君臨する男。当然求められるものも大きく、たとえ援護が少なくとも、各球団のエース相手にも投げ勝っていかなければならない。
自身がかねてから口にしてきた夢を叶えるためには、“悲運のエース”では終われない――。
残りのシーズンで「勝負弱い」印象を拭い去り、押しも押されもせぬ“完全無欠のエース”へ…。この苦境を乗り越えた時、前田健太の夢はきっと手の届く範囲にまで近づいているはずだ。
連勝を6まで伸ばし、ここに来ていよいよ復調の気配が漂ってきたかに見えたが、週が開けて12日からの巨人戦であえなく連敗。3カードぶりの負け越しで、阪神に同率5位に並ばれた。
特に痛かったのがエースの前田健太で落とした初戦。菅野智之との今シーズン3度目のエース対決となった試合は、1点リードの7回に堂上剛裕に適時二塁打を浴び、同点とされると、その後自らのワイルドピッチで決勝点を献上。痛い星を落とした。
昨年から、どうも「ここぞ」という勝負どころで勝ち切れない印象が強い鯉のエース。
最も象徴的だったのが、昨年のレギュラーシーズン最終戦となった10月6日の巨人戦。引き分け以上で2位が確定し、球団初のクライマックス・シリーズ本拠地開催権がかかった試合、相手は優勝の決まっている巨人で、先発は2ヵ月ぶり3度目の登板となる宮国椋丞という条件だった。
戦前は広島優位の見方が多くを占めていたが、試合は逆転負け。味方の援護が1点に留まったこともあったとはいえ、まさかのボークで失点を喫するなど、大一番でエースらしさは影を潜めた。
結局この試合を含め、前田は8月以降で2勝5敗。悲願のリーグ優勝がかかった大事な終盤戦で調子を落とし、最終的には勝率わずか3厘の差で2位も逃す結果となってしまった。
もちろん、すべてが前田一人の責任というわけはなく、またこういった印象だけで責めることはできないというのも事実。
今シーズンはここまでで8試合に登板し、防御率は堂々の1.59。先発投手の能力を図る指標として近年ポピュラーになりつつあるクオリティ・スタート(QS=6回以上を投げて自責点が3以内)で見てみると、前田は今シーズン登板した8試合すべてでそれをクリアしている。
それどころか、QSから派生して新たに提唱されているハイクオリティ・スタート(HQS=7回以上を投げて自責点が2以内)で見ても、8試合すべてでその基準をクリア。先発投手として極めて優秀な成績を残していることに疑いはないのだ。
ただし、そこは今や日本のエースとして球界に君臨する男。当然求められるものも大きく、たとえ援護が少なくとも、各球団のエース相手にも投げ勝っていかなければならない。
自身がかねてから口にしてきた夢を叶えるためには、“悲運のエース”では終われない――。
残りのシーズンで「勝負弱い」印象を拭い去り、押しも押されもせぬ“完全無欠のエース”へ…。この苦境を乗り越えた時、前田健太の夢はきっと手の届く範囲にまで近づいているはずだ。