大方の予想を覆し、パ・リーグを盛り上げる西武。17日の試合でソフトバンクに敗れ、首位の座からは陥落したものの、40試合を消化して22勝16敗で2つの引き分け。昨シーズン借金14の5位に沈んだチームが快進撃を見せている。
そんな好調なチームに、ひとつの問題が浮上した。
それが、打線の核として欠かせない戦力になっている19歳・森友哉の起用法について。現在高卒2年目ながら指名打者のレギュラーとして活躍する男は、来る26日に開幕するセ・パ交流戦においてセ・リーグ主催試合の際、定位置である「6番・指名打者」のポジションを失う。
森の本職は捕手だが、チームの扇の要には炭谷銀仁朗という絶対的な存在がおり、チーム防御率もここまで3.32と安定している。それでも、西武の田辺徳雄監督は捕手からのコンバートを断固として否定し、本人も慣れないポジションではなく捕手としての出場を希望。そこで、首脳陣が苦肉の策として当初打ち出したのは、3連戦の1試合は先発マスクを被り、残りの2試合は代打待機というものだった。
しかし、14日に札幌で行われた日本ハム戦の試合前のシートノックで、ライトの位置に森の姿があった。「捕手で考えていたけど方向転換。代打待機はもったいないし、外せない」と田辺監督。
たしかにここまでの森の成績を見てみると、打率はリーグ5位の.313。本塁打も4位タイの8で、打点も22を記録。これほどの選手を外すという決断は困難で、多少の不安があったとしても他のポジションを守らせるということは、選択肢として十分に考えられることだ。
森は現在の球界で絶滅を危惧される“打てる捕手”としての可能性を秘めた選手であり、この決断に対しては「育成放棄」との声も上がっていたが、果たしてそれはどうか。
田辺監督はかねてからコンバートに関しては否定をし続けており、あくまで捕手として期待を寄せている。あくまでも交流戦でセ・リーグチームの主催となる9試合に限定したものだ。
ひとつしかない捕手というポジションでは、どうしても出場機会は限られる。同じような経験をしたのが日本ハムの近藤健介だ。
13年、中田翔が骨折で戦線を離脱する緊急事態の中、栗山監督は当時2年目だった近藤を「1番・ライト」に抜擢したのだ。これにはファンも戸惑いを隠せなかったが、栗山監督は捕手という出場機会の限られたポジションのせいで成長が進まないことを危惧し、「いつか正捕手になる時のために、まずは打撃を一軍レベルにまで進めておきたかった」とシーズン終了後に説明した。
かねてから「阿部慎之助級になれる」と期待を寄せられていた近藤は、その翌年は主に内野手として89試合に出場して打率.258、4本塁打を記録。そして迎えた今シーズン、正捕手・大野奨太の出遅れなどもあって初めて開幕戦のスタメンマスクを任されると、ここまでチームトップの打率.300をマーク。負担の大きいポジションをこなしながらも、しっかり打撃で結果を残し、栗山監督の起用に応えている。
森も同様で、今はいつか正捕手の座を掴もうという時に「打撃はすでに一軍レベル」としておくためのいわば準備期間のようなもの。今年で20歳とまだ若く、捕手としての経験はこれからゆっくりと積んでいけばいいのだ。
さらに森がライトで成功すれば、チームの弱点補強にもなる。打順がほぼ固定化されている今シーズンの西武において、唯一と言っていい埋まっていない箇所が「7番・ライト」なのだ。
これまでに木村、坂田、森本、米野、斉藤、熊代、大崎と実に7人もの選手を起用するも、これといった決め手に欠いている。もしも森がライトでもいけるとなれば、指名打者のポジションが空き、さらに起用のバリエーションも増えていくことになる。
自らの可能性とチームの可能性も広げる“一石二鳥”な策になるかもしれない森友哉の外野起用。ここでは良いことを並べてきたが、成功か失敗か、最終的に判断の材料となるのは“結果”しかない。
西武の未来を背負う19歳は、自らのバットで周囲を納得させることができるのか――。26日からはじまる交流戦の大きなみどころのひとつになりそうだ。
そんな好調なチームに、ひとつの問題が浮上した。
それが、打線の核として欠かせない戦力になっている19歳・森友哉の起用法について。現在高卒2年目ながら指名打者のレギュラーとして活躍する男は、来る26日に開幕するセ・パ交流戦においてセ・リーグ主催試合の際、定位置である「6番・指名打者」のポジションを失う。
森の本職は捕手だが、チームの扇の要には炭谷銀仁朗という絶対的な存在がおり、チーム防御率もここまで3.32と安定している。それでも、西武の田辺徳雄監督は捕手からのコンバートを断固として否定し、本人も慣れないポジションではなく捕手としての出場を希望。そこで、首脳陣が苦肉の策として当初打ち出したのは、3連戦の1試合は先発マスクを被り、残りの2試合は代打待機というものだった。
しかし、14日に札幌で行われた日本ハム戦の試合前のシートノックで、ライトの位置に森の姿があった。「捕手で考えていたけど方向転換。代打待機はもったいないし、外せない」と田辺監督。
たしかにここまでの森の成績を見てみると、打率はリーグ5位の.313。本塁打も4位タイの8で、打点も22を記録。これほどの選手を外すという決断は困難で、多少の不安があったとしても他のポジションを守らせるということは、選択肢として十分に考えられることだ。
森は現在の球界で絶滅を危惧される“打てる捕手”としての可能性を秘めた選手であり、この決断に対しては「育成放棄」との声も上がっていたが、果たしてそれはどうか。
田辺監督はかねてからコンバートに関しては否定をし続けており、あくまで捕手として期待を寄せている。あくまでも交流戦でセ・リーグチームの主催となる9試合に限定したものだ。
ひとつしかない捕手というポジションでは、どうしても出場機会は限られる。同じような経験をしたのが日本ハムの近藤健介だ。
13年、中田翔が骨折で戦線を離脱する緊急事態の中、栗山監督は当時2年目だった近藤を「1番・ライト」に抜擢したのだ。これにはファンも戸惑いを隠せなかったが、栗山監督は捕手という出場機会の限られたポジションのせいで成長が進まないことを危惧し、「いつか正捕手になる時のために、まずは打撃を一軍レベルにまで進めておきたかった」とシーズン終了後に説明した。
かねてから「阿部慎之助級になれる」と期待を寄せられていた近藤は、その翌年は主に内野手として89試合に出場して打率.258、4本塁打を記録。そして迎えた今シーズン、正捕手・大野奨太の出遅れなどもあって初めて開幕戦のスタメンマスクを任されると、ここまでチームトップの打率.300をマーク。負担の大きいポジションをこなしながらも、しっかり打撃で結果を残し、栗山監督の起用に応えている。
森も同様で、今はいつか正捕手の座を掴もうという時に「打撃はすでに一軍レベル」としておくためのいわば準備期間のようなもの。今年で20歳とまだ若く、捕手としての経験はこれからゆっくりと積んでいけばいいのだ。
さらに森がライトで成功すれば、チームの弱点補強にもなる。打順がほぼ固定化されている今シーズンの西武において、唯一と言っていい埋まっていない箇所が「7番・ライト」なのだ。
これまでに木村、坂田、森本、米野、斉藤、熊代、大崎と実に7人もの選手を起用するも、これといった決め手に欠いている。もしも森がライトでもいけるとなれば、指名打者のポジションが空き、さらに起用のバリエーションも増えていくことになる。
自らの可能性とチームの可能性も広げる“一石二鳥”な策になるかもしれない森友哉の外野起用。ここでは良いことを並べてきたが、成功か失敗か、最終的に判断の材料となるのは“結果”しかない。
西武の未来を背負う19歳は、自らのバットで周囲を納得させることができるのか――。26日からはじまる交流戦の大きなみどころのひとつになりそうだ。