チーム打率、得点、本塁打、盗塁、防御率とリーグ最下位の成績でも、阪神は首位に立っている。打線では鳥谷敬、マートン、ゴメスなど主力の打撃不振が目立つ。

　そんな中、阪神移籍3年目の福留孝介は状態が良い。福留といえば、07年オフにFA権を行使し、活躍の舞台を中日からメジャーに移した。メジャーで5年間プレーした後、大きな期待を受けて13年に阪神に入団。阪神入団後は打撃不振や故障などで、中日時代のような成績を残すことができず、一部ファンから不良債権と呼ばれたほど。

　今季はそんな声を吹き飛ばす活躍を見せている。27日のDeNA戦では、1点を追う6回、先発の井納翔一のスライダーを捉えるとバックスクリーン右に突き刺す同点本塁打を放った。さらに8回二死走者なしの場面では「あの場面は言い過ぎかもしれないけど、ホームランを狙った」と田中健二朗の初球をバックスクリーンに運ぶ勝ち越しの11号ソロ。二打席連続弾は中日時代の07年4月25日以来8年ぶり。二桁本塁打は阪神移籍後初となった。

　開幕から復調の兆しを見せていたが、その勢いが加速したのは、3番に打順変更してからだ。6月16日の日本ハム戦から3番で出場すると同日に猛打賞を記録するなど、3番に座ってから打率.481、3本塁打4打点と絶好調。『3番・福留』は中日時代に定位置だった打順。06には、打率.351、31本塁打104打点をマークし、リーグ優勝に大きく貢献。自身も同年のリーグMVPを受賞している相性の良い打順だ。

　一時は不良債権と言われていた福留。今季は主力の打撃不振が相次ぐ中、慣れ親しんだ3番に戻り、今ではチームに欠かせない存在感を発揮している。