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メキシコの秘密兵器は“スイッチピッチャー” 日本でも見られるか…!?

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こちらはメジャーの両投げ投手・ベンディット。グラブを見ると薬指のあたりにウェブがある[Getty Images]
 11月8日に開幕した野球の国際大会「プレミア12」も、21日が大会最終日。3位決定戦と決勝戦をもって、全日程を終える。

 決勝戦は韓国-アメリカ。日本は準決勝でまさかの逆転負けを喫し、メキシコとの3位決定戦へと臨むことになった。

 そんな中、日本が最後に対戦するメキシコには、気になる投手がいる。

 20日に行なわれた準決勝のゲーム2、アメリカ-メキシコ戦の6回裏の出来事だった。一死から登板したメキシコの4番手・マドリガルは、左腕で投球練習を開始し、捕手へ向けてボールを投げ込んでいく。

 しかし、資料を確認してみると、どれを見てもマドリガルの投打は「右投左打」と書かれている。登録の時点でのミスなのか、とも思われたが、マウンド上のマドリガルをよく見てみると気づくものがあった。奇妙な形をした彼のグローブのことだ。

 彼のグローブには、ウェブ(※親指と人差し指の間にある網のこと)が2つある。斬新なデザインのグローブというわけではなく、それは「両投げ用」のグローブだったのだ。

 “両投げ”といえば、海の向こうアメリカでアスレチックスのパット・ベンディットがメジャーデビューを果たし、大きな話題になった。彼のグローブもマウンド上で利き腕を選択できるように作られた特注モデルで、ウェブが2つ付いている。

 マドリガルは左腕で投球練習を終えると、マウンドに歩み寄ってきた球審の白井と言葉を交わし、打者に相対した。そのアメリカの打者というのが、1番のメイ。なんといきなりスイッチヒッターとの対戦となったのだ。

 白井がマウンドに向かったのは、投球する腕の確認のため。スイッチピッチャーとスイッチヒッターの対戦となった場合、まずは投手のほうがその打席で投げる腕を決め、それから打者が打席に入るというルールが決まっている(※下記参照)。

※野球規則8・01(f)
「投手は、球審、打者および走者に、投手板に触れる際、どちらかの手にグラブをはめることで、投球する手を明らかにしなければならない。投手は打者がアウトになるか走者になるか、攻守交代になるか、打者に代打が出るか、あるいは投手が負傷するまでは投球する手を変えることはできない」

 実は、このルールを作るきっかけとなったのも上述のベンディットだった。

 2008年、ヤンキース傘下の1A・スタテンアイランドで初登板を果たしたベンディットは、初登板でいきなりスイッチヒッターとの対戦を迎えた。ベンディットは打者が右打席に入ったのを見て、左手にグローブをはめると、それを見た打者は左打席へ移動。するとベンディットはグローブを右手に付け替え、左で投げる準備をすると、今度は打者が右打席へ...というやりとりが延々続き、投球ができない状態になった。

 結局、その時は球審が打者に打席を選択するよう指示し、右vs右の対戦に。最後は集中力を失った打者からベンディットが空振り三振を奪って決着がついた。ちなみに、野球規則8・01(f)はこのやり取りが生まれるきっかけとなったため、通称“ベンディット・ルール”と呼ばれている。

 マドリガルは左腕で右打席に入ったメイを打ち取り、続く2番の左打者・フィリップスも左腕で右飛に打ち取って3アウト。次を打つ3番・エイブナーが右打者だったため、利き腕のスイッチに大きな期待が高まったが、6回は回らず。7回からは投手交代となったため、20日の試合ではスイッチを目撃することはできなかった。

 なお、東京では実現していないが、実は台湾で行なわれた予選ラウンドでは“スイッチ投球”がすでに行われている。11月12日のアメリカ戦で登板したマドリガルは、1回2/3の間に左右両腕を使って投球を行った。

 果たして、日本でもその貴重な瞬間は訪れるのか…。日本にとっては絶対に負けられない試合となるが、最終戦はメキシコの秘密兵器・マドリガルにも注目したい。
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