パの高卒新人野手は清原氏が最後
年が明け、各球団の新人合同自主トレがスタート。今年は暖冬ということもあり、額に光る汗が印象的だ。
ドラフト1位ルーキー・平沢大河(仙台育英高)が所属するロッテは、11日の11時11分11秒にトレーニング開始。開幕一軍を目指す18歳は、継続的に行ってるロングティーで非凡なパンチ力を披露。「力は着実に付いていると思う」と手応えを口にした。
楽天の同1位入団・オコエ瑠偉(関東第一高)もプロへの一歩を踏み出した。こちらは雪がちらつく本拠地・仙台でスタート。初日から精力的にメニューをこなし、見守った梨田新監督は「いいお声(オコエ)が出ていた。初日としては合格」と上機嫌だった。
一軍定着までに時間がかかる高卒新人野手。さらに1年目から活躍する選手はほんの一握りで、パ・リーグでは1986年の清原和博氏(西武)、セ・リーグでは88年の立浪和義氏(中日)以降、高卒新人野手の新人王は出ていない。
前例が示す通りハードルは高いが、平沢とオコエには期待したい理由がいくつか存在する。その1つが所属球団の選手層だ。
ロッテは昨オフ、二塁のルイス・クルーズ、三塁の今江敏晃と、不動のレギュラーが揃って退団。新助っ人として二塁と三塁をこなせるヤマイコ・ナバーロを補強し、定位置確保を目指す3年目の三木亮や2年目の中村奨吾など、内野陣の顔ぶれが一新される。平沢が本職とする遊撃には鈴木大地がいるが、チームリーダーは二塁も守ることができる。前述のナバーロ、三木、中村も複数ポジションをこなすことができ、平沢の成長次第では、その能力を最大限に活かす布陣も選択肢のひとつだ。
オコエが勝負する楽天の中堅も、昨年はレギュラーを固定できなかったポジション。ライバルとなる聖沢諒、福田将儀は、ともに俊足を活かした攻守が光るタイプ。オコエが彼らにはない長打力をアピールすることができれば、開幕スタメンの可能性も十分にある。
1年目から打率.285を記録した浅間大基
そんな彼らの道標が、日本ハムの浅間大基だ。高卒1年目だった昨季は春先から二軍でアピールを続け、陽岱鋼が故障離脱した間に一軍昇格のチャンスを掴んだ。するとデビュー戦からいきなり4試合連続安打を記録。その後も一軍で46試合に出場し、1年目から130打数37安打、打率.285をマークした。
その浅間も、横浜高時代は平沢、オコエらと同様、世代別の日本代表で活躍。3年時に出場した『第10回 BFA 18Uアジア選手権』では、高橋光成(現西武)、岡本和真(現巨人)らと侍ジャパンのユニフォームに袖を通し、早くから木製バットへの対応力の高さを披露していた。昨夏『第27回 WBSC U-18W杯』で中心選手として活躍した二人も浅間のような適応力を発揮することができれば、1年目から活躍する可能性を秘める。
新人王はチーム状況や他選手のパフォーマンスに左右する部分も大きい。もちろん、じっくりと育成する方針も選択肢のひとつだが、彼らの能力と所属チームの現状を鑑みれば、快挙達成を視野に入れた起用法に期待したいところだ。
<高卒新人野手の新人王>
パ・リーグは1986年の清原和博(西武)が最後。同選手は開幕2戦目でプロ初出場(途中出場)。初安打が初本塁打という衝撃デビューを飾ると、その後スタメンに定着。1年目から打率.301、31本塁打、78打点といずれも高卒新人最多となる数字を残した。セ・リーグでは88年の立浪和義(中日)が最後。当時22年ぶりとなる『2番・遊撃』での高卒新人開幕スタメン。110試合に出場し、打率こそ.223だったが、22盗塁、21犠打をマーク。チームのリーグ優勝に貢献した。