28年ぶりの高卒野手開幕スタメンも!?
ついに幕を開けた2016年のプロ野球・春季キャンプ。球春到来に多くのファンが胸を躍らせている。
今年は高橋由伸や金本知憲、またはアレックス・ラミレスといったセの新監督が大きな注目を集めているが、そんな中で最もスポットを浴びている“選手”といえば、ロッテのルーキー・平沢大河だろう。
球団の高卒野手としては、2003年の西岡剛以来となるキャンプ一軍スタートを切った逸材。キャンプ前から過熱していく報道に不安を覚えるファンも少なくなかったが、キャンプがはじまってみるとその不安が期待に変わっていったという人も多いはずだ。
「開幕一軍を目指し、1年間一軍にいられるように頑張ります!」。キャンプ恒例・新人の声出しでそう宣言した超高校級ルーキーは、開幕一軍のみならず、中日・立浪和義以来で28年ぶりとなる高卒野手の開幕スタメンも視界に捉えている。
どのステージでも結果を残すことができる力
平沢は2015年のドラフト1位でロッテに入団した。楽天が早くから1位指名を公言し、ドラフト直前には“相思相愛”とまで言われていたが、一巡目指名でロッテが名乗り。抽選の結果、クジの女神はロッテに微笑んだ。
高校2年の時から“天才”と言われ、その打撃で他校を震え上がらせていた。満塁でも敬遠されることがあったという逸話も残り、3年時には徹底マークにあう。結果、春のセンバツでは思うような結果が残せずにチームも敗退している。
それでも、迎えた最後の夏は警戒される中でも存在感を発揮。放った安打は6試合で6本と他の注目選手と比べれば少なかったが、うち本塁打が3本で二塁打も2本。6打点を挙げてチームの準優勝に貢献してみせた。
さらに、甲子園閉幕後に開催された「第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」でも、木のバットに持ち替えて主軸打者として活躍。壮行試合として行われた大学日本代表戦では、この秋のドラフトの目玉と言われる創価大の豪腕・田中正義からクリーンヒットを放つなど、随所で輝きを放った。
甲子園でも、国際試合でも、大学生が相手でも...。いかなる状況に置かれても、平沢はつねに結果を残し続けてきたのだ。
そして迎えた春季キャンプ。はじめて屋外で行われたフリー打撃で、52スイング中6本の柵越えを記録。センターバックスクリーンの手前まで運ぶ会心の当たりも見られ、いきなり首脳陣をうならせた。
「(追い)風もあったので」と本人は謙遜したものの、伊東勤監督は「力強い振りだった」と満足気。「ほかの選手と混じっても遜色ない。何年もやっているみたいな」と言われるように、プロのステージでも周囲が目を見張るような動きを見せつけている。
“愛されキャラ”ぶりも発揮!
また、平沢が持つもうひとつの資質が“愛されキャラ”ぶりである。
キャンプ初日のフリーバッティングの初球では、まさかの空振り。「ちょっとリキんでしまいました...」と周囲を笑わせると、続けて行われたノックでは左足のアップシューズが脱げてしまうというアクシデントも。
先輩たちに「テレビ用か!?」とヤジられ、その場を和ませると、報道陣には「わざとです。テレビ用です」とおどけた。さらに翌日のフリーバッティング終了後には、「今日は靴が脱げないように頑張りました」と、きっちり“伏線”を回収して笑いをとるなど、野球以外の面でも超高校級っぷりを発揮。
もはや末恐ろしさすら感じる一幕であった。
開幕スタメンへの道は...
高卒野手の開幕一軍入りというとハードルが高いが、その点ロッテに入団したことは大きなチャンスだと言える。
チームはこのオフ、内野の要だったルイス・クルーズを巨人へ、今江敏晃を楽天へと放出。伊東監督も「決まっているのは(外野の)清田と角中くらい」と内野陣の競争を煽る発言をしており、アピール次第では平沢の開幕一軍、開幕スタメンだって十分にあり得る状況だ。
キャンプ直前の合同自主トレでは、同じショートを争うであろうチームの主将・鈴木大地に誘われてノックに参加。早くもポジション争いのゴングが鳴ったという見方も多く出ており、キャプテンvsスーパールーキーのバトルには特に大きな注目が集まっている。
思えば28年前、高卒でショートの開幕スタメンを掴んだ立浪和義は、前年ベストナインを受賞した宇野勝をセカンドへと追いやって自らのポジションを勝ち取った。平沢もその可能性を大いに秘めた選手である。
本人が目標として掲げた「開幕一軍」、そして28年ぶりの「高卒内野手・開幕スタメン」、さらには18年ぶりの「パ・リーグ野手新人王」へ...。
平沢大河はいくつの壁を乗り越えられるのか、いまから楽しみだ。
▼ 平沢大河(ロッテ)
生年月日:1997年12月24日(18歳)
ポジション:内野手
経歴:仙台育英高-ロッテD1
身長/体重:176センチ/76キロ
投打:右投左打