ニュース 2016.02.07. 19:00

日本の危機を救う男!? 西武・森友哉、“打てる捕手”への再出発

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捕手に再挑戦する西武・森友哉

目指すはあくまで「打てる捕手」


 「むちゃくちゃ速かった。見えなくて怖かったです(笑)」

 宮崎・南郷で行われている西武の春季キャンプ。その初日を終えた時に、森友哉が語った言葉だ。

 プロ3度目のキャンプインを迎えた男は、その初日からいきなりブルペンに入って座った。コンビを組んだのは、これが7度目のキャンプとなる先輩・菊池雄星。

 「まだまだばらつきがあるけど、勢いは去年よりもいいかもしれない」と語った左腕の快速球を60球受けた森は、「必死でした。むちゃくちゃ速かった。見えなくて怖かったです」と笑った。

 「(菊池には)“へたくそですんません”と言いました」という森だが、実は今回のコンビは、森の方から志願して行ったものだったという。

 「制球が悪いので今までは嫌がって受けてくれなかったんですけど、今日はむこうから来てくれました」と菊池。今まで嫌がっていたかどうかは定かではないのだが、この行動からも森の今年にかける意気込みが伝わってくる。

 2013年のドラフト1位で西武に入団した森。指名挨拶の際に、憧れの存在を聞かれると「巨人・阿部さん。一番の理想でもありますし、目標にする選手」と語り、阿部と同じ背番号「10」をゲットした。

 球界を代表する「打てる捕手」になり、「いつかWBCとかに出てみたい。そういう舞台で藤浪さん(晋太郎・現阪神)の球を受けてみたい気持ちがある」…。これが18歳の秋に男が口にしていた夢だった。


“打者”としては順風満帆すぎる2年間も…


 森友哉のこれまでのプロ野球人生を振り返ってみると、“順調”だと言う意見がほとんどを占めるだろう。

 高卒1年目からファームで大暴れ。一軍でも41試合の出場で打率.275、6本塁打で15打点と活躍を見せる。怖いもの知らずのまま2年目を迎えると、主軸として138試合に出場し、打率.287、17本、68打点をマーク。高卒2年目ながら最多得票でオールスターゲームに選出され、清原和博以来となる史上2人目の10代本塁打も放った。

 オフの契約交渉では推定年俸4000万円で更改。球団の2年目野手として最高の契約も勝ち取り、チームの主力として3年目を迎える。こんなハタチはそうそう出てこない。

 それでも、本人には消せないひとつの思いがある。それが入団時に語った夢「打てる捕手」だ。

 打者としては文句ない成績を収めながらも、活躍と反比例するようにマスクをかぶる機会は減少。なんと2015年は1度もマスクをかぶることなく一年を終えた。

 プロ2度目の契約更改を終えた森は、記者に来季のポジションについて尋ねられると、「キャッチャーじゃないですか」と答えた。

 「まだ若いし、守りたい。」…。日本代表にも選出された扇の要・炭谷銀仁朗に、もう一度挑戦状をつきつける覚悟を述べた。


日本の“危機”を救うかもしれない逸材


 森の正捕手への挑戦は、チームと西武ファンにだけ関わるトピックではない。将来の日本球界を左右すると言っても過言ではない、大きな出来事になり得るものだ。

 というのも、現在の球界で叫ばれているのが“正捕手不足”問題。各チーム2人ないし3人で回すという体制が普通になってきている。

 事実、昨シーズン捕手で規定打席に到達した選手は両リーグ合わせても2人だけ。ヤクルトの中村悠平と、森のライバルである炭谷しかいなかったのだ。

 それも、中村・炭谷ともに打率はリーグ最下位。球界全体で「打てる捕手」が枯渇している。


 まずは守りから、と打力は二の次に考えられることも多いポジションでもある捕手だが、これまでの“日本野球”の中心にいたのは「打てる捕手」だった。

 2006年の第1回WBCでは、ブレイク直後だった里崎智也がその打力を武器に大役を全う。ホームベースを守ってチームの優勝に貢献しながら、バットの方でも4割超の高打率を残し、大会のベストナインに選出された。

 日本が2連覇を達成した第2回WBCの時には、当時マリナーズに所属していた城島健司がいた。敗れはしたものの、2013年の第3回WBCの時にも阿部慎之助が「4番・捕手」として君臨。チームの中心には「打てる捕手」の存在があった。

 次代の日本を背負う捕手がなかなか出てこない中で、森はその穴を埋める可能性を大いに秘めた選手であるといえる。

 森の場合は目標も分かりやすい。チームのレギュラーであり、日本代表メンバーにも入った炭谷を超えること。ポジションを奪うこと。これができれば、入団会見の時に語っていた「WBCとかに出てみたい」という夢も、一気にすぐそこまで近づいていることだろう。

 再びはじまった「打てる捕手」への挑戦…。森友哉の挑戦が、将来の日本球界を救う日が来る、かもしれない。


▼ 森友哉(西武)
森友哉

生年月日:1995年8月10日(20歳)
経歴:大阪桐蔭高-西武D1
ポジション:捕手
身長/体重:170センチ/80キロ
投打:右投左打
[通算成績] 179試 率.285 本23 点83 出塁率.359 長打率.484 OPS.843

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