登録名を変更!心機一転を期す選手たち
不運なシーズンが続いたことや、いまひとつ殻を破りきれない時、選手が稀に行うのが“改名”。登録名の変更だ。
今年でいうと、オリックスの中島裕之が登録名の漢字を変更。「裕之」を「宏之」に改めた。
日本球界に復帰した昨季は故障もあり、117試合の出場で打率.240、10本塁打、46打点。大型補強の目玉選手として大きな期待を受けたが、結果としてはその期待を大きく裏切ることとなった。
昨年9月には結婚もし、新たな気持ちで迎える2016年。渡米前のような輝きを取り戻すべく、心機一転「宏之」で新シーズンをスタートさせる。
ほかにも、「生まれ変わったつもりで一から頑張りたい」と語ったのは楽天の西田哲朗。今季から登録名を名前のみの「哲朗」に変更した。
昨季はショートのレギュラーとして期待されながらも、キャンプ中の左足甲骨折で開幕に出遅れ、不本意な1年に。悪い流れを断ち切り、今年からまたレギュラー確保を目指すべく、心機一転を計ったという格好だ。
さらにもう一人、オフの風物詩化しつつあるのがDeNA・後藤武敏の登録名変更。昨季は自身の愛称“ゴメス”から「後藤武敏G.(ゴメス)」に改名したが、シーズンが始まってみると故障との戦いに苦しみ、打率.206で4本塁打に終わった。
今季からは、「後藤G武敏」に改名。2年連続で登録名を変更し、もう一度勝負にかける。
“改名”の効果とは…
これまでも、登録名を変更する選手は数多く存在したが、変更後の成績はどうだったのだろうか。
もっとも成功したといえるのは、マーリンズのイチローだろう。
イチローは入団3年目、本名の「鈴木一朗」から「イチロー」に変更。この年から新監督に就任した仰木彬氏に類い稀な打撃センスを見出され、レギュラーに抜擢された。
するとこの年、イチローは輝かしい成績を残す。当時のプロ野球記録となるシーズン210本安打に、パ・リーグ新記録となる打率.385(2000年に自ら記録更新)を残して首位打者を獲得。そのほかにも最高出塁率、ベストナイン、ゴールデングラブ賞、正力松太郎賞を獲得し、打者としては日本プロ野球史上最年少となるシーズンMVPにも輝いた。
登録名変更がひとつのキッカケとなり、イチローは一躍球界を代表する選手へと変貌したといえる。
現阪神の西岡剛も、ロッテ時代の2007年登録名を変えている。
2006年は33盗塁で2年連続盗塁王に輝くなど活躍を見せていたが、「背番号と同じ数字の07年ということもあり、何かを変えたい、スペシャルな年にしたい」という思いから、登録名を「TSUYOSHI」に変更。手首のケガや首痛などもありながら、自身初の打率3割を打つなど、活躍を見せた。
なお、この登録名は1年限りで、翌年には再び「西岡」に戻している。
オリックスのT-岡田も登録名変更で劇的な大躍進を見せた選手の一人だ。
岡田は2009年のオフ、新監督に就任した岡田彰布が、自身と同姓であり「ややこしい」との理由から、登録名変更を発案。ファンの応募の中から、「T-岡田」に決定した。
迎えた2010年、レギュラーに定着した岡田は、前年の43試合を大きく上回る129試合に出場。33本塁打を放ち、王貞治以来48年ぶりとなる22歳での本塁打王に輝いた。
今季から登録名を変更した3選手は、いずれも昨季の成績が芳しくなかっただけに、過去の成功例のような飛躍に期待がかかる。心機一転で迎える新シーズン、彼らの活躍に期待したい。