噂通りの“怪物”だった。中日の新外国人ダヤン・ビシエドがなんと開幕3連戦で3試合連続本塁打。新外国人選手の開幕からの3戦連続本塁打はプロ野球史上初。

　これまでの開幕からの連続記録は、1989年にブーマー（オリックス）が記録した5試合連続が最高。新記録更新はおろか、13年にヤクルトのバレンティンが記録した年間60本のプロ野球記録を更新する勢いだ。

　バックネット裏に陣取る他球団スコアラーも開いた口がふさがらない。阪神との開幕3連戦（京セラドーム）。25日の開幕戦では阪神・鶴直人から右翼へあいさつ代わりの１発。翌26日は能見篤史から左中間へ豪快な１本。さらに27日には藤川球児の変化球を、豪快にバックスクリーンに持っていった。右に左にセンターに打ち分けた。

　キューバ出身のビシエド。185センチ、108キロの巨漢で、メジャー時代は「戦車」の愛称で呼ばれていた。シカゴ。ホワイトソックス在籍時には2012年にシーズン25本、2014年は21本と、メジャーでもなかなかの成績を収めている。ビシエドは開幕前、夫人の出産に立ち会うため、米国に一時帰国。20日に再来日したが、いきなり結果を出した。公私ともに絶好調だ。

　キャンプ中の“噂”は本当だった。ある他球団の関係者が「中日の外国人、あれすごいよ。バレンティン以上って噂も出ている」と、警戒心を高めながらビシエドの打撃練習を見守っていた。さらにその打撃練習を見終えると「これ、対策練らないとやばいね」と言って球場を後にした。まるでピンポン玉のように、軽々と外野フェンスを越えていく打球にあきれ返った様子だった。

　入団会見の席では「本塁打を看板に充てれば賞金が出る球場もある」との問いに「まずは球場を見てみようと」自信たっぷりに答えた。次は本拠地ナゴヤドームで4戦目を迎える。ナゴヤドームの看板弾となれば推定180メートルほどの飛距離が必要で、人類では不可能とも言われている。

　ただ、ビシエドの身体能力があれば、それが可能なのではと思えるほどの馬力と技術を持ち合わせている。全方向に打てるビシエド。4試合連続なるか、看板弾はあるのか。29日からの広島戦3連戦も期待がかかる。