ニュース 2016.03.31. 06:00

西武・多和田真三郎、じっくりと前を見据える

 2016年のペナントレースが始まり、大卒ドラフト1位では高山俊(阪神)、茂木栄五郎(楽天)、吉田正尚(オリックス)が開幕スタメンに名前を連ねるなど、さっそくその実力を見せつけている。また、ピッチャーでは今永昇太(DeNA)、原樹理(ヤクルト)、桜井俊貴(巨人)が先発ローテーション入りし、プロ初登板を果たした。

 そんな中、同じ大卒ドラフト1位で開幕二軍スタートとなったのが、西武のドラフト1位・多和田真三郎。背番号は18。かつて松坂大輔(現ソフトバンク)、涌井秀章(ロッテ)つけていたエース番号を受け継いだ。広いストライド、低い重心から放たれるストレートは最速152キロを計測している。

 沖縄出身の多和田は中部商2年の夏、沖縄県大会準々決勝で宮国椋丞(巨人)を擁する糸満高と対戦。興南・島袋洋奨とともに沖縄を代表するピッチャーだった宮国と投げ合うも、試合には敗れてしまう。しかし、この試合で多和田は注目を集めることになった。翌年夏は決勝まで進出。しかし、前年に続き糸満高に1対2で敗れ甲子園出場はならなかった。秋のドラフトではプロ志望届を提出するが、どこの球団からも指名されず岩手の富士大学へ進学する。

 多和田は1年春からリーグ戦に登板。秋には背番号18を背負うようになる。そして、多和田真三郎の名前が一気に広まったのは同年11月に行われた明治神宮大会だった。国際武道大戦に先発した多和田は持ち前の伸びのあるストレートを武器に、相手打線を封じ込んでいく。終わってみれば四死球2のみと大会では21年ぶりとなるノーヒットノーランを達成。1年生ピッチャーの快挙に早くも「3年後のドラフト有力ピッチャー」と騒がれるようになる。

 翌13年、2年生となった多和田は春のリーグ戦で5勝1敗の好成績を残し最優秀選手を受賞。さらに3年春秋、4年春も同タイトルを獲得し着々と成長を遂げてきた。しかし、全国大会の舞台ではなかなか結果を出せずにいた。2年生の大学選手権では明治大に対して6回途中まで7失点を喫し降板。

 翌年は福岡大相手に1失点と好投を見せるも、打線の援護に恵まれず敗れた。同年秋の創価大と対戦した明治神宮大会では自己最速の151キロをマークするが、ノックアウトを喫してしまう。そして、順調に成長曲線を描いてきた多和田は、4年春のリーグ戦で右肩痛を発症。 以降、登板機会がなくなりもどかしい日々が続いた。それでも、西武はその潜在能力を高く評価しドラフト1位での指名を早い時期から公言。ドラフト会議では予定通り西武が1位で指名した。

 B組(二軍)キャンプとなった多和田はあせることなく、肩の調子としっかり向き合いながらブルペンで投球練習を行った。4月上旬の実戦登板を見据えながら、西武第二球場で汗を流している。くしくも今年の西武の開幕戦オーダーには、「7番・一塁」で富士大の2年先輩・山川穂高。「9番・遊撃」で富士大の1年先輩・外崎修汰と同じ大学の先輩がともに名を連ねた。「今度は先輩たちをバックに、俺が一軍のマウンドへ…」。背番号18、多和田真三郎は「その日」に向けてゆっくりと階段を登っている。

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