ニュース 2016.04.01. 17:11

『中学野球の指導者出身』の監督が目立ったセンバツ

 3月20日に開幕した第88回選抜野球大会。智弁学園と高松商による決勝戦は延長戦の末、智弁学園がサヨナラ勝ちを収めセンバツ初優勝を果たした。

 そんな今回のセンバツ、監督の経歴で注目されたのは「中学野球の指導者」出身だった。決勝で惜しくも敗れ準優勝となった高松商の長尾健司監督は順天堂大を卒業後、中学校の教員に。中学軟式野球部の指導をスタートする。

 今回のセンバツに21世紀枠で出場した小豆島の杉吉勇輝監督は、丸亀市綾歌中時代の教え子だった。その後、丸亀市飯山中、香川大教育学部付坂出中でともに全国大会出場と中学野球で結果を残す。そんな中、中学と高校の人事交流として昨年4月に名門・高松商へ赴任し、野球部監督に就いた。これまでは同校OBが代々監督を務めてきただけに、異例ともいえる監督就任だった。それでも昨秋には四国大会優勝、明治神宮大会優勝、そして今回のセンバツ準優勝と「古豪復活」を印象付けた。

 今大会、ベスト8に入った地元・明石商の狭間善徳監督は、中学野球で実績を残してきた指導者だ。93年、高知・明徳義塾中野球部のコーチを経て監督に就任。以降、全国制覇4回と中学野球界を代表する指導者として名を馳せた。そして06年、狭間監督の故郷・明石市が新設した民間人採用枠で明石商へ赴任する。着々とチームを作り上げ、11年春の兵庫県大会で優勝し近畿大会へ出場。昨夏は決勝まで進出するも、滝川第二に敗れあと一歩で涙をのんだ。今チームは秋の県大会で優勝し、近畿大会はベスト4入り。初のセンバツ出場となった。特に初戦の日南学園戦は8回の勝ち越し、9回のサヨナラの場面といずれもスクイズで得点を挙げていた。

 一方、中学硬式の方ではベスト4に入った秀岳館の鍛冶舎巧監督が挙げられる。県岐阜商、早稲田大と活躍し、松下電器(現・パナソニック)では阪神からのドラフト指名を断り、選手、監督とアマチュア一筋に生きた。その後、中学硬式野球チーム「オール枚方ボーイズ」を立ち上げ監督に就任。全国大会で幾度も日本一を経験した。

 枚方ボーイズの教え子には国吉佑樹(DeNA)、姫野優也(日本ハム)がプロ野球に進んでいる。14年にはパナソニックの専務役員を辞し、秀岳館の監督に。就任会見で語ったのは「3年で日本一」。その3年目が今年となるがセンバツはあと一歩のところで逃した。夏の日本一挑戦が大いに期待される。

 他にも今センバツで連覇に挑んだ敦賀気比の東哲平監督、その敦賀気比と1回戦で対戦した青森山田・兜森崇朗監督も中学硬式チームの監督を務めた経歴がある。今後も「中学野球の指導者出身」の高校野球監督が甲子園に登場してくるに違いない。
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