昨季は13年ぶりにシーズン300奪三振
ロサンゼルス・ドジャースのクレイトン・カーショー。メジャー在籍8年間で114勝をマーク。今や米球界を代表するサウスポーに成長した男だ。
日本から移籍した前田健太はこの最強左腕と同僚となり、左右の二枚看板としての活躍がいまから楽しみなところ。
カーショーは昨季、年間で301奪三振を記録した。ナ・リーグでは、02年にランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)が334奪三振、ア・リーグでは、99年にペドロ・マルティネス(レッドソックス)が313奪三振を記録しているが、それ以来この大台に届いた選手はいなかった。
先発ローテーション投手がシーズンに登板できるのは、だいたい30~33試合といったところ。こうなると、ほぼすべての試合で2ケタの三振を奪わないと達成できないだけに、とてつもない数字だということが分かる。
メジャーでのシーズン最多奪三振数は、383個。73年にノーラン・ライアン(エンゼルス)が達成した。日本のプロ野球では、68年に江夏豊(阪神)が401奪三振を記録。これは世界記録である。
ライアンも江夏も、とにかくボールが速かった。快速球が最大の武器だった。それに対し、カーショーはちょっと違う。真上から投げ下ろすオーバーハンドだが、スライダーとフォーシームが投球の8割を占め、そこにカーブを織り交ぜる。
直球の平均球速は149キロとメジャーでは平均程度。そこに130キロ後半のスライダー、110キロ後半のカーブで緩急をつけ、ボールのキレで勝負する。
左投手ゆえに一塁けん制もうまく、フィールディングも上手。投手としての総合力が高いのだ。
毎年のように投手タイトルを獲得
年度別の成績を見ても、11年に投手三冠を達成。投手最高の栄誉「サイ・ヤング賞」には11、13、14年と3度も輝いている。
14年シーズンは、実にもったいなかった。シーズン開幕直前に肩甲骨付近を痛め15日間の故障者リスト入り。復帰は5月になったが、それでも6月18日のロッキーズ戦で自身初のノーヒットノーランを達成するなど絶好調。6連勝、7連勝と波に乗り、自身最多タイの21勝をマーク。故障がなければ、25勝は固かったはずだ。
ドジャースは、ここ3年連続で地区優勝中。ところが、ことごとくプレーオフで敗れてワールドシリーズ進出を逃している。
88年以来のワールドシリーズ制覇へ……。カギを握るのはやはり、エースのカーショーだろう。
【カーショウの年度別成績】
08年:22試 5勝5敗 100奪三振 防4.26
09年:31試 8勝8敗 185奪三振 防2.79
10年:32試 13勝10敗 212奪三振 防2.91
11年:33試 21勝5敗 248奪三振 防2.28 ☆最多勝、最多奪三振、最優秀防御率
12年:33試 14勝9敗 229奪三振 防2.53 ☆最優秀防御率
13年:33試 16勝9敗 232奪三振 防1.83 ☆最多奪三振、最優秀防御率
14年:27試 21勝3敗 239奪三振 防1.77 ☆最多勝、最優秀防御率
15年:33試 16勝7敗 301奪三振 防2.13 ☆最多奪三振